<フィギュアスケート:グランプリシリーズ第4戦・NHK杯>◇13日◇札幌・真駒内セキスイハイムアイスアリーナ

 ショートプログラム(SP)で1位だった高橋大輔(25=関大大学院)がフリーも制し完全制覇。NHK杯歴代最多4度目の優勝で、12月8日開幕のGPファイナル(カナダ)出場を決めた。高橋は冒頭の4回転フリップで転倒したが、表現力を示す5項目で9点台の高得点をマークするなど、169・32点でSPとの合計259・75点で、2位の小塚崇彦(22)に24・73点差をつける圧勝だった。

 決まれば世界初。果敢に挑んだ4回転フリップは、惜しくも転倒だった。しかし、ジャンプの正確さ、表現力の豊かさは、今大会の選手の中では飛び抜けていた。高橋は「100%ではなかった。まだまだだと思う」と言うが、SPですでに2位の小塚に10・66点差。その差をさらに開き、余裕の優勝だった。

 4回転フリップは、本番前の6分間練習で初めて完璧な着氷を見せた。トーループとの選択で迷っていたが、この着氷で挑むことを決めた。「迷っていたが、フリップしかなかったでしょう」。軸がぶれ転倒。回転不足も取られた。しかし、その後はきちんと持ち直した。

 今季のフリーは「今まで避けていた」ブルースの曲だ。あまり曲調に強弱がなく表現するのが難しい。それでも、3位に終わったスケートカナダよりも「進歩している」。4回転フリップとともに、14年ソチ五輪に向けた新たな挑戦でもある。

 8月には2週間ほど、フランスのリヨンで、スケーティングの基礎を見直した。種目が違うアイスダンスの先生に指導を仰いだ。多様なスケーティングをするアイスダンスから、シングルにも多くのことを学んだ。表現力を養うために、米国でバレエのレッスンも受けた。

 GPファイナルは3年連続6度目の出場となる。今回は、SPで回避した4回転を「入れるだけの安定感を持ちたい」。本格的な4回転時代が到来した男子で「僕も負けていられない」とソチに向けて、フリーでの世界初4回転フリップの成功を誓った。【吉松忠弘】