<テニス:男子国別対抗戦デ杯世界グループ:日本1-1クロアチア>◇1回戦◇初日◇シングルス◇10日◇兵庫・ブルボンビーンズドーム

 世界90位の添田豪(27=空旅ドットコム)が、日本にとって歴史的な世界グループ初勝利を大逆転で挙げた。同55位のイワン・ドディグ(27)に2セットダウンから6-7、3-6、6-4、6-3、7-5の4時間5分で勝ち、日本に幸先のいい1勝をもたらした。日本は81、85年の2度、最高峰の世界グループで戦ったが、いずれも1勝もできずに0-5で完敗していた。しかし続く第2試合で錦織が敗れ、初日は1勝1敗。今日11日はダブルス1試合が行われる。

 地鳴りのような「添田」コールがこだまする。満員の観客が、熱い応援で、添田の背中を押した。気力を振り絞った第1サーブに、ドディグのリターンがラインを割った。「勝ったことが信じられない。1ゲームずつ積み重ねっていっただけ」。4時間5分の劇的フィナーレに、添田は天を仰いだ。

 ラリー戦で押し勝っているがセットが奪えない。しかし添田は「相手と、そんなに差がない」と冷静だった。あとがない第3セット。竹内監督も「第3セットを取れば大丈夫」と励まし続けた。全開で飛ばしたドディグは、第3セット以降は失速。そこを添田が見事につかまえた。

 05年デ杯代表デビュー。錦織が成長するまでの日本を支え続けた男だ。しかし昨年のウズベキスタン戦、インド戦と、初日のシングルスから外された。「最初から最後まで出たいと思っていた」。過去2戦の悔しさを、この日、劇的な逆転で晴らした。

 今代表4人の中では、27歳は最年長だ。デ杯では、すでに、この日で22戦を経験し18勝目。世界グループ下部の地域ゾーンで苦杯もなめてきた。一時は、精神的な弱さを指摘されたこともある。しかし「精神的に引っ張っていく存在になりたい」と添田。この日、エースの錦織が敗れる中、男になった瞬間だった。【吉松忠弘】

 ◆日本の世界グループ

 81年に1回戦でスウェーデンと対戦。最初の4試合で1セットも奪えず。最終試合で1セットを奪ったが0-5で敗退。85年の1回戦、対米国では初日の第2試合に1セットを奪ったが、奪取セットはそれだけで、再び0-5で敗退した。これまで、世界グループで0勝10敗だった。