<フィギュアスケート:世界国別対抗戦>◇2日目◇20日◇東京・代々木第1体育館

 高橋大輔(26=関大大学院)が最高の演技で今季を締めくくった。フリーで182・72点を出し、総合276・72点で優勝。4回転を含む8度のジャンプをほぼ完璧に成功させた。世界歴代最高を記録したSPに続き、どちらも4年ぶりに自己ベストを更新。世界王者パトリック・チャン(カナダ)を2位に抑え、直接対決では今季5戦目で初勝利を挙げた。

 胸を左手で誇らしくたたく、両腕を何度も突き上げる、そして応援してくれた仲間に向けてその場で跳びはねる。「どうだ!」。今季7戦目で最後の「ブルース」の調べに乗ったフリーで、高橋が最高のフィナーレを手にした。

 高橋

 最後まで気持ち良く滑れた。それがうれしい。今季は自分の自信を取り戻したシーズンになった。

 昨年5月、3年前の左ひざ手術の際に埋め込んだボルトの除去手術を受けた。リハビリを積んで挑んだ今季。不安もあった1年間の最後につかんだのは、確かな自信だった。

 前日のSPで歴代世界最高の演技を披露した。同じように冒頭の4回転を決めると、勢いが増す。ジャンプが決まるごとに声援も増した。演技構成点は5要素すべてで9点超え。08年4大陸選手権の記録を、フリーと総合で塗り替えた。

 今季初の「チャン超え」も果たした。世界選手権2連覇中の5歳下のライバル。「びっくりとうれしいのと。勝ったのは自信になる。甘えずに次も頑張りたいですね」。14年ソチ五輪に向けて、重要な今季5戦目での一矢になった。

 今季は日常履く靴にもこだわった。陸上でも氷上の感覚に近づけるため、かかと部分を硬くした特注品。昨年の世界選手権前に、ウオームアップ用の陸上靴をプーマ社と共同開発。片足200グラム強で、氷上練習と同じ感覚で陸上練習ができる。華麗な演技を、細部のこだわりが支えていた。

 「来年その点数にふさわしいスケーターになるように」。4年ぶりの自己ベストにも浮かれず、「来季はフリーでも4回転を2度入れないと」と誓った。高橋が求めるのは2年後、ソチ五輪での最高のフィナーレだ。【阿部健吾】