【秦皇島(中国)7日=阿部健吾】宿舎が寮!?

 ロンドン五輪出場権がかかるアマチュアボクシングの女子世界選手権(中国)は11日に開幕する。ミドル級日本代表で、お笑いコンビ「南海キャンディーズ」のしずちゃんこと山崎静代(33=よしもとクリエイティブエージェンシー)ら日本選手団は、この日現地入りしたが、宿舎はまるで高校の寮。当初聞いていたホテルではなく、エレベーターもバスタブもない環境で過ごすことになった。ベスト8入りで五輪切符が手に入る大一番で、思わぬ逆境とも戦うことになった。

 はるばる到着した中国で、ビックリが待っていた。山崎ら選手が大会本部で言い渡された宿泊施設は、会場の敷地内にある「アパートメント」。日本から予約したときはホテルと聞いていたが…。他国の選手らも同環境とはいえ、樋山監督も思わず「聞いてないな~」と困り果ててしまった。

 仕方なく案内されるがままに徒歩で移動。高校の寮のような建物に入ると、待っていたのは階段だった。エレベーターはない。さらに日本選手団は全員が3階の部屋。重い荷物を持って上がると、6畳程度の2人部屋はバスタブもない。選手からは「ないわー」と途方に暮れた声が上がった。

 そもそもが予想外の長旅だった。北京国際空港からバスで移動したが、所要時間は事前に言われていた2時間半ではなく、4時間半以上。本部に到着時には日も暮れ、予定していた練習もあきらめざるを得なかった。山崎は狭いベッドの上で「ちょっとつらいですね」と疲れた表情をみせた。

 ベスト8入りで五輪切符がつかめるが、過酷な道にもなりそうだ。山崎が出場するミドル級の参加人数は、前回10年大会の27人から45人に激増。上下の階級から体重を調整した有力選手が集まり、抽選次第では8強までに3勝が必要だ。

 いきなりの逆境続きだが、朗報もある。12日か13日に予定される初戦に、相方の山里亮太が試合を初観戦することが決定。「せっかく忘れていたのに、うっとしいですねえ」とニヤリとしたが、表情はうれしそう。部屋の割り当てを待っている間も入念にストレッチをするなど、環境を嘆いてばかりはいられない。「楽しみですね、戦うのが」と気合も十分でやってきた。言い訳はせず、コンビ愛の後押しも受け、戦い抜くしかない。