<フィギュアスケート:世界国別対抗戦>◇第1日◇11日◇東京・代々木第1体育館

 まさかの今季初転倒!

 女子SPで浅田真央(22=中京大)が今季ワーストの59・39点で5位と出遅れた。代名詞のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)で転倒し、今季7戦目となる最終戦で初の減点を喫した。

 ジャンプは繊細だ。浅田は心の迷いに負けた。

 直前の6分間練習。この日の午前中までは跳べたトリプルアクセルがなぜか決まらない。「なんでだろう」。答えが見つからないまま本番へ。原因不明の不安は、「体の全部が後ろに残っている状態」につながる。跳躍が反り返るような体勢になり、完璧な着氷には程遠い。回転が足りず右足が滑って、氷上に腹ばいに。判定は2回転半で大幅な減点。今季初めて採点表に転倒の減点「マイナス1」が記された。演技後は下唇をかみ、首を横に振った。

 今季7戦目。06-07年以来6季ぶりに、シーズンで1つの転倒もなく過ごしてきた。2月の4大陸選手権で3回転半を“解禁”してから3戦目となる最終戦で初の失敗となり、大技の難しさを再認識した。4大陸選手権で2年ぶりに成功させた自信、世界選手権でも認定された自信を深められなかった。

 現役女子選手では浅田しか成功していない3回転半。「楽しくて元気なプログラムなのに、ジャンプでミスしてしまうと盛り上がりが落ちてしまうのが残念」。今季最後のSPは不満足に終わった。自分だけの武器は同時に、納得の演技をする上での“強敵”でもある。フリーでは再び、少しの迷いも許されない。【阿部健吾】

 ◆世界国別対抗戦

 今年3回目を迎えるISU公認大会。世界の上位6カ国が男女シングル各2人、アイスダンス1組、ペア1組の4種目8人で争う。各種目優勝者には12点、2位には11点…と与えられ、各国の合計点で優勝国を競い合う。今回の参加国は日本、カナダ、ロシア、米国、フランス、中国。ソチ五輪の団体戦とは形式は異なる。