<卓球:ジャパンオープン荻村杯>◇23日◇横浜文化体育館

 女子シングルスで、世界ランキング15位の福原愛(24=ANA)が1989年に始まった今大会で、同種目としては日本人選手初の優勝を果たした。決勝ではベンチに入った張莉梓コーチが退場になるアクシデントにも気持ちを切らさず、世界ランキング48位の文■晶(韓国)に4-0でストレート勝ちを収めた。

 きょろきょろと、福原の首が左右に動いた。女子シングルス決勝、福原が2ゲームを連取した第3ゲーム、9-8と1点リードの場面。ベンチに座る張コーチが突然、退場処分になった。会場がざわめく。福原はミスから2失点し逆転されたが、そこから持ち直した。最後は相手が打ち返せないコースを突き、13-11で取った。

 張コーチの退場は初めて。その後は、コーチからのアドバイスもなく1人で戦った。第4ゲームも強烈なフォアハンドを決め、ストレートで下した。コーチの退場には「なんでなのか分からなかったけど、大事な場面で(コーチが)いなくなっても動揺しないでプレーできたのは、成長したところ」と振り返った。

 強い愛ちゃんが、表彰台の頂点に帰ってきた。女子シングルス1回戦で敗退した世界選手権パリ大会から、40日。帰国後はコーチらとの反省会で敗因を分析した。1週間ほど休養し、練習を再開したときの様子を張コーチは「練習したい気持ちが満々だった」。体全体を使ってフォアハンドの威力を増す新たな取り組みを始め、練習から1球1球に集中した。「(昨年8月の)右ひじ手術後よりも苦しい練習をしてきた。練習をした分、結果はついてくると実感できた。ゼロから積み立て直す気持ちで戦えたのがよかった」。

 試合後には、右腕のアイシングをしたまま、約50人のファンの前にパイプ椅子を持って座り、即席のサイン会を開催した。「小さいときから応援してくれている日本の観客のみなさんの前で優勝できてうれしい」。いつもの笑顔が戻ってきた。【保坂恭子】※■は火ヘンに玄