<ユース五輪>◇第6日◇21日◇中国・南京

 トランポリン女子で中野蘭菜(16=星稜高)が銀メダルを獲得した。決勝では高難度技をまとめきり、52・370点を記録。武器である勝負強さを発揮した。名前の由来は、アニメ「未来少年コナン」のヒロインから。競技を始めたきっかけは人見知り克服という「トランポリン界のラナ」が、大きく飛躍した。

 157センチの小柄な体を俊敏に回し、最終10本目の跳躍で後方2回宙返り2回ひねりを決めると、中野の顔に自然と柔らかくなった。「いつもは前にいったりすることが多かったけど、今日は決められた」。予選では「女子では初ではないか」(西川監督)という自由演技での53点台を出し、安定した演技をそろえた。

 決勝入場時には会場の応援に手を振り、演技開始直前にも笑顔。「あまり緊張しないんです。マイペースだからかなあ」と首をかしげるが、大舞台での失敗経験はほぼない。どこかのほほんとした姿。その幼少期は少し違ったという。

 母由紀さん(41)は「谷底に突き落としたんです」と振り返る。極度の人見知りで、4歳の時に「まったく友達もいない環境に」と選んだのが金沢市内のトランポリン教室だった。最初はコーチとも話せないほどだったが、跳躍の楽しさに魅せられ、今がある。

 「蘭菜」の由来は父慎哉さん(42)が好きな「未来少年コナン」のヒロイン。彼女にはテレパシー能力があったが、中野には勝負強さ、激しい練習にも耐える体の強さもある。今年11月の世界選手権に最年少で選出され、16年リオ五輪も視界に。「リオにも出て、20年の東京ではメダルを」。人見知りからは程遠く、相手の目をじっと見て、誓いを立てていた。【阿部健吾】

 ◆中野蘭菜(なかの・らな)1997年(平9)9月10日、石川県金沢市生まれ。4歳で競技を始める。紫錦台中から星稜高に進学。6月のアジアジュニア選手権3位、7月の世界選手権最終選考会の決勝で3位となり代表に選出された。趣味は「家でゴロゴロとテレビを見ること」。157センチ、43キロ。