<テニス:楽天ジャパン・オープン>◇第3日◇1日◇東京・有明コロシアム

 全米準優勝、マレーシアオープン優勝を引っさげて、日本のエースが凱旋(がいせん)試合をストレート勝ちだ。世界7位の錦織圭(24=日清食品)が同61位のドディグ(29)を6-3、6-4の1時間24分で下し、初戦を突破。今大会1回戦最後の試合となり、大トリを飾った。日本テニス協会からは、全米準優勝の特別功労金として500万円が贈られた。

 凱旋(がいせん)試合の舞台は平日の水曜日。しかし、当日券約600枚は売れ、チケットは完売。第3日としては過去2番目に多い1万2053人で超満員。降雨で屋根を閉めた有明コロシアムで錦織は「地元の試合は最高の気分。タイトな試合だったが、勝てて本当にうれしい」と言った。地鳴りのような歓声が、錦織の凱旋を祝った。

 大会前、「(雰囲気や期待に)のみ込まれるのが不安」と話していた。先週のマレーシアは、全米準優勝直後、第1シードの重圧や重責とも戦った。今大会は、地元の多大な期待がのしかかる。その初戦で、過去2勝1敗。昨年には最高29位に上昇したドディグはタフな相手だった。

 第1サーブが80%も入った。しかし、エースは2本だけ。ストロークも攻撃的に振り回した。しかし、壁のように拾う相手に「一瞬、(重圧に)のみ込まれそうになった」。しかし、3オールから、一気にレベルを上げる。ドディグの時速210キロを超える第1サーブを苦もなく返球。3ゲームを連取し、続く第2セットも突き放した。

 この時期は、内容も大事だが、勝利優先だ。11月9日から始まるツアー最終戦初出場に向け、出場資格レースでは勝てばポイントが加算される。世界ランキングと違い、減る点がないため、単純に勝利だけが優先される。「大きなチャンスだし、今年の残された目標」。

 今大会の組み合わせも、運が向いてきた。準決勝で対戦する予定だった第1シードのワウリンカが、1回戦で伊藤に敗れた。第2シードのフェレールも初戦敗退。宿敵ラオニッチは健在だが、上位2シードの敗戦で、錦織より高い世界ランクの選手はいなくなった。「また、この有明で優勝したい」。日本男女通じて、史上初のツアー2週連続優勝に向け、錦織が凱旋勝利で走りだした。【吉松忠弘】