日本バスケ界に大激震が走った!

 日本バスケットボール協会が、国際連盟(FIBA)から国際試合出場停止の制裁を科されることが確実になった。23日に開かれた臨時理事会で深津泰彦会長(69)が辞任。FIBAから10月末までに解決を求められたトップリーグの併存解消などにめどが立たない責任をとった形だが、新リーグへの進展は望めない状況で、制裁は避けられなくなった。来夏に控える16年リオデジャネイロ五輪予選、最悪の場合は20年東京五輪にまで影響を及ぼす大打撃となる。

 突然の辞任劇だった。FIBAが設けた期限の今月31日まで残り8日となった状況で、問題解決の先導役が舞台を降りた。深津会長は「より前進するために、一刻も早く新体制になったほうがいい」と辞意表明の理由を述べたが、「丸投げ」とも取れる退任だった。

 責任として挙げたのは、6月から「新リーグ組織委員会」を立ち上げて協議してきたNBLとTKbjリーグのトップリーグの統一問題。今月末までに骨子をFIBAに提示するはずが、議論は平行線。チーム名への企業名の有無、新リーグの法人と株式会社のbjリーグとの関係など、参加要件で合意できず「新しい責任者の方が」と判断した。

 ただ、FIBAが10月末までに解決を迫ったことは3項目あり、リーグ問題は1つにすぎない。国際試合と国内試合の日程重複もその1つだが、最も問題視したのは日本協会のガバナンス(統治)能力だった。

 日本で開催した06年世界選手権では13億円、12年のアジア杯でも2億円の赤字。男女日本代表の成績も低迷し、国際日程との調整もできない。そして、08年からFIBAが問題としたリーグ問題では幾度も統一に失敗し、今回もまとまらなかった。さらに、20年東京五輪では予算削減で会場変更を余儀なくされていた。深津会長も「FIBAとの信頼関係を十分に作り得なかった。私のガバナンスが問題になった」と認めた。

 FIBAの責任者であるバウマン事務総長とは、今月来日した際に会談した。発動した場合でも、来年6~9月に予定される16年リオ五輪予選前に解除されるよう言葉を交わしたという。だが、3項目の解決のため、会長代行として今後のかじ取りを担うのは副会長を務めていた丸尾氏。既存の執行部であり、さらに理事長を務めるNBLはつくば、和歌山が経営危機に陥り、手腕に疑問が残る。ガバナンスで抜本的な改革ができるかは疑問符が付く。

 もし解決できず、予選に出られないとなれば、16年リオ五輪の道が断たれる。出場停止はアンダー世代も該当するため、20年東京五輪にまで影響する事態もありえる。期限間際での協会トップの辞任。日本バスケ界にとって、影響の大きさは計り知れない。

 ◆2つのトップリーグ

 94年、将来のプロリーグを見据えて日本リーグ機構(JBL=現NBL)が設立された。ただプロ化を掲げながらも、廃部が相次ぎ、リーグ自体のプロ化は進まなかった。そんな中、プロリーグ設置に積極的だった新潟と埼玉が04年8月にJBLからの脱退を表明し、同11月に「日本初のプロリーグ」としてbjリーグを創設。05年11月、6チームで開幕した。FIBAから「1国1リーグが望ましい」との指摘を受けた日本協会は08年に1リーグ制への検討委員会を設置。日本協会は毎年億単位の金額を支出してきたが、統一は実現せず、今回の事態を招いた。

 ◆FIBAの資格停止処分

 過去には、協会内の対立があったフィリピンやスロバキアの例があり、スロバキアは昨年のU-17女子世界選手権の開催権を剥奪。昨年、男子リーグの政治介入問題があったレバノンには、1年間の国際活動停止処分が科された。