<高校ラグビー:中標津36-12津山工>◇1回戦◇27日◇花園

 北北海道代表で8大会ぶり出場の中標津が、02年大会以来12大会ぶり2度目の初戦突破を果たした。津山工(岡山)を退けた。ノーサイドの笛に、誇らしそうに笑うフィフティーン。就任8年目の山口昂希監督(32)は「花園に出られるだけでもうれしかったけど、勝てて良かった」と白い歯を見せた。

 ゴール前数十センチの攻防を制し、チームが息を吹き返した。後半3分、10分に連続トライを許し、19-12まで迫られていた。逆襲でゴールライン間際まで攻め込んだが、ラックからの突破を何度も何度も阻まれる。だが、あきらめず、しつこく攻め続け、最後はCTB川村晃大(3年)が飛び込んだ。試合終了間際にも勝利を決定づけるトライを決めた川村は「あの(後半1つ目の)トライで変わったと思う。練習でやってきたことを出せた」と振り返った。

 昨年末から悲しみが続いた1年だった。この日は、9月の道大会と同じように、ベンチに遺影があった。昨年末に49歳で他界した下■潤前監督と、今年3月に69歳で亡くなった多田浩元監督。長く部を支えた2人に、恥ずかしいプレーは見せられない。FB竹崎僚太主将(3年)は「ここまで部を築き上げてくれた方々。1回戦負けで無残な姿は見せられなかった」と言った。開会式の選手宣誓にも込めた「感謝の思い」を、本番の試合で体現した。

 今大会最少タイ、20人での挑戦。道大会後3人加わったが、ベンチ枠は5人分、空きがある。全員が高校から競技を始めたが、川村は「少人数でも花園で勝てると証明できた」。30日の2回戦はBシード御所実(奈良)と対戦する。竹崎主将は「強いチームと(花園の)メーングラウンドで試合をやれる。とても良い経験。早くやりたい」と、心を躍らせていた。【保坂果那】※■はケモノヘンに招のツクリ