<女子バレーボール:ワールドグランプリ>◇20日◇東京・有明コロシアム

 ロンドン五輪銅メダルで世界ランキング3位の日本は、同6位のロシアに3-1で勝ち、勝ち点3を獲得した。ミドルブロッカー(MB)を置かない新戦術「ハイブリッド6」が機能。第1セットは22-25で落としたが、25-20、25-21、25-17と3セットを連取して逆転勝ちした。決勝リーグは6チームの総当たりで24日まで争われる。日本は21日、同11位のトルコと対戦する。

 日本が新戦術「ハイブリッド6」を国内で初披露した。セッターがトスを上げる瞬間、リベロを除く4人が後方から一斉にスパイクを打ちにかかる姿が特徴的だ。1次リーグで敗れたロシアを破り、真鍋監督は「この勝利は大きい。勝ったからいい方向に向かうと信じている」と話した。

 アタッカーを4人置くことで、狙い通りに攻撃の種類が増えた。スパイクでの得点が5点を超えた選手はロシアの2人に対し日本は5人。チーム最多の17得点の木村沙織主将(28=東レ)は「自分もチーム全体も調子が上がってきている」と笑顔を見せた。

 6月に取り組み始めたばかりとあって課題は連係。セッター宮下が「(監督の)指示を消化できず迷いがでてしまった」と話すように、トスが合わずスパイクが打てない場面も少なくなかった。また速いコンビネーションでないとブロックに追いつかれ、引き出しの多さを生かしきれない。高いトスでのスパイク決定率を上げることも課題だ。

 新戦術が未完成でも、サーブで活路を開いた。新鍋の2連続サービスエースなど、サーブポイントだけでロシアの3倍となる9点を奪った。木村主将は「サーブで攻められたことがよかった」と振り返った。【岡崎悠利】

 ◆ハイブリッド6

 ブロックやクイックが本職のミドルブロッカー(MB)を置かず、ポジションにとらわれずに流動的に攻める戦術。6人のうち2人をMBにするのが主流だが、昨秋からMB1人の「MB1」を実践。守備面の不安が解消されたため、6月から各自が複数の役目をこなす新戦術に着手した。ハイブリッドは英語で「混ぜる、組み合わせる」などの意味。