<ラグビー・関東大学リーグ:明大38-13日体大>◇12日◇対抗戦グループ◇ニッパツ三ツ沢球技場

 関東大学リーグの対抗戦が開幕、元日本代表の吉田義人監督(40)を迎えて名門復活を目指す明大が、白星発進した。昨季敗れた日体大との開幕戦に38-13。3点を追う後半残り10分間で、認定トライを含む4連続トライで逆転勝ちした。「走らない選手は使わない」という徹底した吉田イズムのもと、機動力を兼ね備えた重戦車FW陣が最後まで走り切った。対抗戦6位に終わり、24年ぶりに大学選手権出場を逃した昨季の屈辱をバネに、新生明大の戦いが始まった。

 ノーサイドの笛と同時に観客席から声が飛んだ。「これが明大のラグビー。期待しているよ」。快勝をたたえる温かい拍手が選手を包んだ。「明大の矜持(きょうじ)を取り戻す初めての公式戦。自分たちのラグビーを信じてやっていこう」と言って、選手をグラウンドに送り出した吉田監督は「残り10分間で自分たちのラグビーができた」と素直に喜んだ。

 反攻ののろしを上げたのは、やはり歴史を築いてきたFWだった。3点を追う後半29分、敵陣ゴール前に攻め入った明大はスクラムから途中出場のSH秦-NO8杉本とボールが渡り、最後は左フランカー三村がゴールポスト真下に飛び込んだ。37分には強力モールに耐えきれなかった日体大の反則で認定トライ。2分後に右フランカー西原主将の50メートル独走トライと、昨季は終盤にフィットネス不足から失速したFW陣が暴れまくった。

 「最後まであきらめず我慢でき、我慢し切れたのが勝因。監督に1勝をプレゼントできたのがうれしい。いい恩返しができた」と西原主将は言う。吉田監督は就任時「ボールを持って走るのが自分の原点。やりたいラグビーは僕が15人いるようなラグビー」と話した。それを実践。定期的に持久走測定を導入した。レベル別に選手を3つのグループに分け、下のグループほど練習で走る量が増えていった。体力の限界に挑む我慢は、こうして培われていった。

 ハーフタイム。吉田監督は「ボールを持ったらしっかり前に出て、体を当てていこう」「ボールを持ったら走れ」と指示した。まさに、故北島忠治元監督の教え。後半20分にSH金沢を秦に入れ替えた。「フレッシュな風を入れ、テンポアップを図りたかった」と説明したが、その采配もズバリ的中した。不安定なラインアウト、ノックオン、ハンドリングエラーなどミスも多かった。しかし「これから改善していけばいい」。

 11年ぶりの対抗戦全勝制覇。13年ぶりの大学日本一。「明大の輝かしい時代を取り戻す」を旗頭に、吉田明大が価値ある1勝を挙げた。【三角和男】