<大相撲秋場所>◇4日目◇18日◇東京・両国国技館

 涙が止まらなかった。西前頭2枚目の碧山(27=春日野)が、目を真っ赤に腫らした。今場所、土俵の上で泣いたのは松鳳山(29=松ケ根)に続いて2人目。状況は、まったく同じだった。結びの一番で、横綱日馬富士(29=伊勢ケ浜)を破り、初金星を獲得。「言葉が出ないくらいうれしい。毎日毎日、頑張って頑張って、やっと良い相撲が取れるようになりました」。顔を真っ赤にして喜んだ。

 立ち合いでは横綱の圧力に後ろに押された。だが、右から小手に振ると、体が入れ替わって形勢逆転。そのまま両手で押し出した。無数の座布団が舞うも「1個も見ていなかったです。うれしさが強いから、どんな強い人間でも涙が出るです」と恥ずかしがっていた。

 ブルガリアから09年に来日して、最初は田子ノ浦部屋に入門した。しかし、昨年2月に師匠の田子ノ浦親方(元幕内久島海)が急逝し、春日野部屋への転籍を余儀なくされた。ケガに泣かされたこともあった。それだけに「今の師匠、田子ノ浦親方と、そのおかみさんが喜んでいると思います。あと、家族が一番うれしいと思います」。「です」「ます」言葉を丁寧に使いながら、感謝の言葉が止まらなかった。