横綱朝青龍(28=高砂)が「黄砂」の直撃で体調を崩し、29日の横綱審議委員会(横審)けいこ総見(両国国技館)のけいこを回避する可能性が出てきた。27日、モンゴルから再来日。左ひじに不安に加えて、4日間滞在した母国で黄砂がひどく「鼻血が止まらなかった」と明かし、土俵上のけいこについて「分からない」と話した。同けいこ総見には内館牧子委員(60)が約7カ月ぶりに復帰する予定。久しぶりの「直接対決」も微妙になった。

 モンゴルから帰国した朝青龍が、自身の口から「体調不良」を切り出した。「黄砂で鼻血が止まらなかったんだよ。のどもカラカラになったし」。23日夜に日本を出発してモンゴル入りしたが、ウランバートルはひどい黄砂に見舞われていた。2週間後に迫った夏場所を控え、左ひじに加えて、3泊4日という強行帰国で呼吸器系の不安材料まで抱え込んでしまった。

 現地でのトレーニングは「やる時間ないだろ。行ったら、すぐ帰りだよ」。それだけ休養にあてたつもりだったが黄砂の直撃に体が悲鳴を上げた。モンゴルの黄砂は日本に比べて砂ぼこりの濃度が高く、社会問題にもなっている。特に4月は年間で最も集中する時期。昨年4月に帰国した時も、黄砂でほとんど外出できないほどだった。

 一方で「黄砂で鼻血」発言は、29日の横審けいこ総見へのけん制とも考えられる。昨年12月に心臓弁膜症の手術を受けた内館氏が約7カ月ぶりに復帰する予定。同委員について話題が及ぶと「(けいこ総見でのけいこは)明日(28日)けいこをしてみてだな。下の力士に思い通りできるかどうか…」。けいこ総見には出ても、体調不良を理由に土俵には上がらない可能性も示唆した。

 内館氏は術後療養中だった今年3月、初場所での復活優勝後にガッツポーズした朝青龍について「相撲という伝統世界の『横綱』という最高位に立つには器が小さ過ぎた」などと週刊誌上で批判していた。今回のけいこ総見は一般客を入れて国技館内で行われる。7カ月ぶりの「直接対決」が注目されていたが、実現は微妙な状況になってきた。【山田大介】