<大相撲九州場所>◇13日目◇27日◇福岡国際センター

 横綱白鵬(24=宮城野)が年間84勝目を挙げ、05年に朝青龍がマークした年間最多勝利記録に並んだ。大関琴欧洲(26)をすくい投げで下し、初日から13連勝。横綱朝青龍(29)が大関琴光喜(33)に敗れたため、後続とは2差。14日目に2敗の朝青龍と平幕豊ノ島(26)栃ノ心(22)がそろって負けるか、結びで琴光喜に勝てば、2場所ぶり12度目の優勝が決まる。

 ついに並んだ。4年前に朝青龍が打ち立てた年間84勝の金字塔。先輩横綱だけが知る最多勝の頂まで、白鵬が登り切った。今場所2度目の洗髪でさっぱり。前夜は「もつ鍋」を平らげて、お肌ツルツル。体調万全、会心の笑顔の白鵬は「喜んでいいのかな?」とこぼした。「目標として頑張ってきましたからね」と満足げな表情を浮かべた。

 豪快、そして繊細だった。鋭く踏み込み、下から得意の左前まわしをつかんだ。ひざを曲げながら出し投げで琴欧洲を振り、もろ差しを許してからは腰を振って相手のまわしを切った。「崩してからね。止まったらダメですから」。内掛けで長身大関を揺さぶり、最後は腰に乗せるようにして土俵にたたきつけた。

 14日目の琴光喜戦に勝てば、尊敬する双葉山に並ぶ12度目の優勝が決まる。「九州でね。双葉山関に並べたら」。順調に見える1年だが、双葉山への意識で袋小路に入ったこともあった。秋場所序盤。部屋関係者に「立ち合いで悩んでいる」と打ち明けた。立ち遅れているように見えて、相手の出ばなをつかまえる「後の先」。双葉山が得意とした立ち合いを極めようとし、本来の鋭さを失った。

 右足から踏み込んで右を差し、同時に左上手をつかむ形を目指した。夏場所千秋楽では立ち合いだけで朝青龍の体を浮かせ、理想に近づいた、かに見えた。「まだまだだね。相撲は奥が深い」。押し込まれる形が目立つようになり、秋場所6日目には翔天狼に負けた。仕切り線から距離を置くなど試したが、結局は初心に戻った。左で踏み込み、まずは左前まわしをつかむ。「大関に上がる前の立ち合いだね」と鋭い立ち合いを取り戻した。

 過去に13日目の「2差」を逆転されたことはない。数字以上に、現在22連勝中の白鵬にはスキがない。「まずは優勝して、結果を出したい。あと2番、ありますから」。勝てば、史上初の「年6場所14勝以上」となる超安定ぶり。探求心に満ちた白鵬が、歴史を塗り替えて賜杯をつかむ。【近間康隆】