<大相撲初場所>◇13日目◇21日◇東京・両国国技館

 横綱白鵬(25=宮城野)が6連覇に王手をかけた。大関琴欧洲(27=佐渡ケ嶽)に上手を与えず、得意の右四つから盤石の寄りで1敗をキープ。これで連続90日間の「年間成績」は88勝2敗となり、自身の最多記録を更新した。2敗を守った隠岐の海(25)が14日目に敗れ、白鵬が結びで把瑠都(26)に勝つと、通算18度目の優勝が決まり、元横綱大鵬が記録した史上2位の6場所連続Vに並ぶ。

 白鵬本来の鋭い立ち合いではなかった。「想像以上に向こうが低く来た」と面食らった。それでも当たって右にいなし、得意の右四つに持ち込む。琴欧洲の右下手を切ると、左上手をつかみ、引きつけて203センチの長身を棒立ちにさせた。「よく見えたという感じだな」。横綱300勝にあと1勝。迫り来る重圧を押しのけ、6連覇へ大きく前進した。

 稀勢の里に不覚を取ってから大関戦2連勝と、完全に復調気配だ。ちょうど1年前の昨年初場所14日目から積み上げた白星は88個。その間、黒星は稀勢の里に対する2つしかない。元横綱朝青龍関の引退後、ライバル不在という理由はあるが、安定感は驚異的といえる。

 妻紗代子さんが第3子を妊娠中。「毎日(家に)来なくていいよ」と言われながら、許す限り、臨月の妻に付き添い、時間を共有している。出産予定日は既に1週間過ぎている。「いつだろうと焦りはある」と気をもむ中で、土俵では動じぬ強さを発揮した。

 実は昨年3月、痛風にかかりそうになったことがある。以後は節制を心がける。「酒はあまり飲まない。優勝した時にガガッと飲む程度。最近はお客さんと行っても、そちらの方が多いくらい。最近は心がけが変わってきたね」とは師匠の宮城野親方(元前頭竹葉山)。痛風予防に効果があると聞きつけ、桑の葉を摂取し、水代わりの青汁を飲む毎日が続いている。

 横綱にとって最低ノルマとも言える12勝は、これで16場所連続。今日14日目にも優勝が決まる。部屋には重さ8・5キロのタイが届く準備が整った。「優勝はひとつずつ違う味。苦しい時の方がおいしい。(連勝記録がかかった)先場所は苦しい思いをした。優勝の重みと、大鵬さんの偉大さを感じた」。“相撲界の父”と慕う先輩の6連覇に並んだ時、どんな味がするのだろうか。【大池和幸】