日本相撲協会は30日、大相撲夏場所(5月12日初日、東京・両国国技館)の新番付を発表した。

現役力士の今場所達成可能な歴代10傑入りなどの記録は以下の通り(在位したことで達成済みも含む)。

【通算出場】

「鉄人」玉鷲(39=片男波)が先々場所で皆勤し歴代トップ10入りを果たした。その数を1598回に伸ばしており、歴代9位の富士桜(1613回)まで、あと15回。この夏場所も皆勤を続ければ千秋楽で富士桜に並ぶ歴代9位にランクインする。ちなみに歴代1位は大潮の1891回。

【通算勝利数】

現役最後の場所となった21年7月の名古屋場所で全勝優勝した横綱白鵬(現宮城野親方)が「1187勝」という歴代トップの大記録を打ち立てて引退した。歴代2位の元大関魁皇(現浅香山親方)の1047勝、同3位の元横綱千代の富士(先代九重親方)の1045勝までが「1000勝超え」を挙げ、大相撲史に偉大な足跡を残している。

現役1位は玉鷲(39=片男波)の807勝。歴代10位で860勝の元関脇寺尾(故先代錣山親方)までは、あと53勝で「鉄人」が“元祖鉄人”にどこまで迫れるか注目だ。

ちなみに、22年1月の初場所限りで引退した当時、現役2位だった序二段の51歳力士・華吹(立浪)は、通算勝利数が683。単純比較は出来ないが、元横綱朝青龍の669勝を14勝、上回る立派な記録を残した。

現役2位は高安(34=田子ノ浦)の726。3位は佐田の海(36=境川)の697勝で続く。

【幕内在位場所数】

歴代1位は元大関魁皇の107場所。白鵬は歴代単独2位の103場所で現役にピリオドを打った。それでも白鵬の、新入幕からの幕内連続在位は、史上初の100場所を超える大記録となっている(103場所まで更新)。

現役1位は玉鷲の87場所で、歴代10位の若の里(現西岩親方)に先場所の在位で並び、今場所の在位で88場所と上乗せし単独10位となった。現役2位は高安の77場所、同3位は今場所、1場所での返り入幕を果たした宝富士(37=伊勢ケ浜)の73場所となっている。

【幕内出場回数】

白鵬が歴代8位の1282回で引退。あと1日だけでも土俵を務めていれば、歴代7位の元関脇安芸乃島(現高田川親方)の1283回に並んでいた。

現役1位は玉鷲の1302回。昨年9月の秋場所千秋楽で歴代10位の豪風(現押尾川親方)に並びトップ10入りを果たし、同九州場所3日目に歴代9位の琴ノ若(現佐渡ケ嶽親方)に並び、先々場所は白鵬と安芸乃島も抜き現在は単独7位。歴代6位の琴奨菊までは残り30回で、ちょうど2場所で並ぶ。現役2位は宝富士の1080回。なお歴代1位は、元関脇旭天鵬(現大島親方)の1470回。

【幕内勝利数】

白鵬が1093勝で、2位の魁皇に214勝もの差をつけ歴代トップに立っている。歴代10傑には千代の富士(3位=807勝)、北の湖(4位=804勝)、大鵬(5位=746勝)、貴乃花(10位=701勝)といった優勝回数20回以上を誇る、そうそうたる横綱が名を連ねている。

現役1位は玉鷲の624勝、2位は高安の566勝、3位は宝富士と十両碧山(37=春日野)の504勝。妙義龍(37=境川)は残り5勝で区切りの500勝に到達するが、今場所は十両に陥落したため、来場所以降にお預けだ。

【通算連続出場】

初土俵以来、無休の「鉄人記録」。昨年9月の秋場所中に富士桜(1543回)を抜き、玉鷲が単独2位に浮上し、その数を1598回に伸ばしている。04年春場所の序ノ口デビューから足かけ21年の「皆勤賞」だ。一昨年7月の名古屋場所はコロナ禍で13日目から休場したが、不可抗力のため連続出場記録は途絶えずに継続されていた。その先の歴代1位は、元関脇青葉城の1630回。あと32回で3場所を要する。“実りの秋”に大記録達成なるかに注目だ。

【幕内連続出場】

現役の宝富士が、先々場所の皆勤で990回となり並んでいた貴闘力を抜き歴代単独6位に浮上。だが先場所は十両に陥落したため、過去5人しかいない1000回の大台を前に記録は途絶えた。それでも、10年以上も連続して幕内で出場という立派な記録だ。

また、現役2位の玉鷲も現在957回で歴代8位に名を連ねている。その1つ上の歴代7位の貴闘力(975回)まで18回。今後も出場を続ければ、7月の名古屋場所3日目に追いつき、同4日目に単独7位に浮上する。

【三賞受賞】

一昨年九州場所で殊勲賞を受賞した高安(32=田子ノ浦)が12回受賞となり、栃東(元大関)、安美錦と並び歴代10位に名を連ねた。もう1回受賞して13回になれば歴代7位タイ(武双山、土佐ノ海、琴光喜)、さらにもう1回上乗せして14回になれば同4位タイ(鶴ケ嶺、朝潮、貴闘力)まで上がる。先場所は11勝を挙げ、今場所は東前頭3枚目に番付アップ。優勝争いに加わるような活躍を見せれば、7位浮上のチャンスだ。

現役で高安に続くのが、御嶽海の10回、3位は照ノ富士の9回。なお歴代1位は安芸乃島(元関脇)の19回。後述の金星獲得でも歴代トップで、大物キラーぶりがうかがえる。なお歴代2位は1差の18回で琴錦(元関脇)となっている。

【金星獲得】

一昨年の名古屋場所で逸ノ城が、横綱照ノ富士を破り通算9個目の金星を獲得。三根山、玉乃海ら5人が名を連ねていた史上10位の仲間入りを果たしたが、既に引退している。

現役で金星獲得1位は、7個で遠藤(33=追手風)と北勝富士(31=八角)が並んでいたが、ここに昨年だけで4個を量産した玉鷲が割って入り、7個で並んだ。歴代10傑(9個)入りに3人は、あと2個の金星が必要だが、横綱が照ノ富士一人しかいないため、今場所で達成はできず、十両陥落の遠藤には上乗せのチャンスがない。

残る2人の番付は、玉鷲が東前頭9枚目、北勝富士は西前頭11枚目。番付編成上、この2人が横綱と対戦することはない。白星量産の快進撃で終盤まで優勝争いに加われば、最近は番付より優勝争いが取組編成で優先されるため、歴代10傑入りに「リーチ」をかけるチャンスが巡ってくるかもしれない。

ちなみに金星獲得歴代1位は安芸乃島の16個で、2位で並ぶ高見山と栃乃洋に4個の差をつけている。