新横綱日馬富士(28=伊勢ケ浜)が27日、不知火型の土俵入りを稽古した。所作を覚えるのに苦戦し、稽古終了まで51分かかった。指導した伊勢ケ浜親方(52=元横綱旭富士)は「時間かかったね。イメージしてなかったんだろうね。少しくらい、家でやってくればいいのに」と苦笑いした。

 土俵に入り、仕切り線まで向かう時、踏み出す足を間違えた。初めは、正面に尻を向けてしまう場面もあった。右で四股を踏み、両手を左右に広げたせり上がり。その次は、再び右で踏むところが、左になりそうになる。師匠に手本を見せてもらったが、なかなか頭に入らなかった。この日は、通しで3回だけ、どうにか成功させた。

 一門の力士ら約40人が集結した綱打ち式。午前9時すぎから約2時間かけて綱が完成した。締めてもらった日馬富士は「着けることができるなんて、神様に感謝です」と喜びいっぱい。しかし、土俵入りで苦労し「見るのとやるのとでは、全然違った。今日1日、練習です」と、さらなる稽古を誓った。

 今日の明治神宮を終えると、明日29日は栃乃洋引退相撲で1回、10月1日の力士選士権では明治神宮と国技館で1回ずつ、土俵入りの予定がある。すでに、師匠の現役時代のビデオも見た。「ウチの親方は、きれいな土俵入りで有名。親方みたいな土俵入りをしたい」と晴れ舞台に思いをはせた。【佐々木一郎】

 ◆不知火型

 土俵入りのせり上がりのとき、両手を左右に開く。積極的な攻撃を示すといわれ、背に回った結び目の輪が2つ。第11代横綱不知火光右衛門の豪快かつ優美な型を踏襲したといわれるが、現在の土俵入りは第22代横綱太刀山の型を基にしている。