第70代横綱に昇進した日馬富士(28=伊勢ケ浜)が28日、東京・明治神宮で奉納土俵入りに臨み、不知火型を初披露した。観衆約3000人が集まる中、間違うことなく、じっくりとかみしめるように所作をこなした。1分53秒の土俵入りは、年6場所制となった58年以降の不知火型で最長の所要時間となった。

 「親方みたいに美しい土俵入りを目指して、一生懸命やりました。気持ち良かったです。1つ1つの動きに集中して、心を込めてやりました」。前日の土俵入り稽古では、なかなか手順を覚えられずに四苦八苦。家に帰ってからも、伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)のビデオを20回以上繰り返し、練習したという。

 太刀持ちは安美錦、露払いは宝富士。伊勢ケ浜部屋の3人がそろい、師匠は「心配もするけど、感激もする。3人とも自分の弟子だからね。(採点すると)90点」と合格点を与えた。5年前、白鵬の土俵入りでも太刀持ちを務めた安美錦は「満点。師匠、おかみさんがいて、違う感じがあった。いい土俵入りだった」と振り返った。

 土俵入りに先立って行われた推挙状授与式では「品格力量抜群に付横綱に推挙す」と書かれた推挙状を受け取った。大仕事を終えた新横綱は「今まで通りに稽古に精進して、横綱として責任を果たせるよう、一生懸命やりたい」と決意を述べた。今日29日は元関脇栃乃洋の引退相撲で、国技館での初の土俵入りを披露する。【佐々木一郎】