攻撃こそ最大の防御。今年の西武はその言葉が最も合うチームだった。打ち勝って連覇するのは難しい。大技から小技まで、ほぼパーフェクトな攻撃で、それを成し遂げた。

特筆すべきは得点圏打率が際立って高いこと。中でも森は打率3割2分9厘に対して得点機で4割1分1厘。中村は同2割8分6厘が3割5分と勝負強かった。山川、外崎、源田も大きく率を下げなかった。ホームランが多いだけでなく、つくったチャンスは必ず生かす。それが爆発的な得点力を生んだ。

加えて盗塁が134個と多い。バントが少ない割に併殺が少ないのも、俊足の選手が多いことを示す。出る人、送る人、走る人、かえす人。各選手の役割をフルに生かした。総失点が極めて多いが、総得点は755。2位ソフトバンク(578点)より、1試合1点以上多く取っている計算だ。

攻めて守りの甘さをカバーした。防御率はリーグ最下位。エラーも最多で、外崎と中村は失策数1位、2位。その中で、11連勝したニールの存在は大きかった。核の投手で勝てれば大型連敗はない。昨年は途中加入のヒースとマーティンがブルペンを支えた。今年はニールが、防御率4点台の厳しい先発事情を助けた。平井と増田、後ろの2人が年間を通して頑張ったから大崩れしなかった。

昨季の戦力から投手では菊池が抜け、野手では浅村が抜けた。ニールが菊池の穴を埋め、浅村に代わろうという面々が爪痕を残した。炭谷の移籍で、森が休まず出続けたことも攻撃力アップにつながった。何よりチームマネジメントとして、主力に大きなケガや長期離脱がなかったのが大きい。

山川が打てない時期は中村が打ち、序盤に不振だった金子侑は徐々に打率を上げて足が使えるようになった。打線全員が不調に陥ることがなかった。オールスター以降39勝21敗。シーズンを通しどんどん強くなり、最後の大逆転を生んだ。(日刊スポーツ評論家)