猛虎伝説はよみがえらなかった。4月17日の巨人戦といえば、1985年(昭60)のバース、岡田、掛布のバックスクリーン3連発。監督でリーグ優勝、日本一を遂げた吉田氏の逆転の期待も泡と消えた。

吉田 不思議が重なった負けでした。4回に3ランを放った巨人ウォーカーの一振りだけで敗れた。さらに不思議なのは、7回裏の攻撃を1-3で迎えたのが昭和60年と同じスコアだったことです。2死一、二塁からバースが巨人槙原から3ランを打ってひっくり返し、掛布、岡田と続いたのは奇跡的でした。赤星を追い詰めて1発が出れば逆転の一、三塁で、中野が二ゴロに倒れたのは残念でした。ただ、点差は競ったかのようですが、わたしには自滅に映りました。

終盤は押し気味の阪神は9回、巨人大勢から糸井が左前打で出塁したが、続く梅野が3-2から内にきたボール球に空振り三振。代打高山が中前打でつなぐも、山本遊ゴロ、中野が空振り三振で封じられた。

吉田 梅野があのボール球を振ってしまう光景に、低迷するチームが表れている。大勢が糸井にヒットを打たれて苦しんでいるのに、ファウルにするならまだしも、あの球を振っては相手チームを助けてしまった。本人の反省とともに、監督、コーチはここを厳しくチェックすべきではないだろうか。勝負は厳しいから運も味方につけなければいけないのに、自ら手放してる戦いに見えて仕方がなかった。

今季は20試合消化時点で借金13(3勝16敗1分け)で断トツの最下位。1年前は16勝4敗で独走気配だったから、正反対の現象が起きている。この一戦が佐藤輝を2番に、近本を3番に据えて4試合目だった。

吉田 ロハスが4の0だったけど外すのはどうかと思うし、代打の切り札を高山と決めたならそれを続けてほしい。承知だろうが近本は3番ではない。佐藤輝もはまったという見方もあるが、そうは思わない。「2番」と「4番」の重要性をどう考えているのか。打線は固定すべきだ。苦しいだろうが、1つずつ返していくしかない。【取材・構成=寺尾博和編集委員】

阪神対巨人 7回裏阪神2死一、三塁、二ゴロに倒れる中野(撮影・上田博志)
阪神対巨人 7回裏阪神2死一、三塁、二ゴロに倒れる中野(撮影・上田博志)