ヤクルトが独走している最大の理由は、今試合前まで広島に10勝1敗1分けと大得意にしているからだろう。その広島が、ヤクルトに逆転勝ち。一番の立役者は、7月8日に1軍に合流した秋山だった。

広島にとっては、期待の新戦力。ヤクルトがこのまま広島を“大のお得意さま”にしておくためには、秋山を抑える必要がある。しかし、攻め方を間違えてしまった。バッテリーの配球は極めてオーソドックス。最初の打席に内角を攻める。そして真っすぐで攻めて、変化球で打ち取るというものだった。

第1打席は内角のカットボールを一塁への内野安打だが、会心の当たりではない。それでも内角へ食い込むカットボールを引っ張られたことにより、「狙われているのではないか」と考えてしまったのだろう。

2打席目は外角のスライダーをレフト前へ。3打席目は真ん中寄りのフォークをセンター前へ運ばれた。第4打席目は高めに浮いたチェンジアップを本塁打にされた。2打席目から4打席目まではすべて、入り球として真っすぐを2球続けていた。

シンプルな攻めは、「来たボールを打つ」というシンプルなスタイルの秋山にとっても、マッチしやすい攻め方になる。

もともと踏み込んで打つフォームで、常に真っすぐを待って変化球に対応するタイプ。この手のタイプは状況や投手によって狙い球を絞ったり、ほとんどスタイルを変えない。真っすぐに振り遅れているのなら、そのまま押し通せばいいし、内角球を打てなければそのまま攻め続ければいい。

試合前まで秋山の成績は打率1割7分1厘だった。まだ調子が上がっていないこともあるが、メジャーに比べて内角のストライクゾーンが広い日本は内角が攻めやすい。極端に踏み込んで打つのだから、内角を攻めない手はない。打たれるまでは「同じパターン」の攻めでいいし、調子が上がらないのは単純に対応できていないからと考えていいだろう。

苦手ヤクルトから勝利した広島は2位に浮上した。3位DeNAには12勝3敗、4位の阪神にも11勝2敗2分けと大きく勝ち越す。カード別の相性が極端で、まるでヤクルトを優勝させるためにアシストしているような戦いぶり。ヤクルトは秋山を封じ、広島を“味方”のままにするような戦いを続けていきたいだろう。(日刊スポーツ評論家)