風速20メートルの強風で、プレーする選手も、スタンドのファンの皆さんも大変だったと思う。その中でも結果を求められるバッターには厳しい条件だが、ロッテ藤原にはソフトバンク柳田のバッティングを参考にしてもらいたい。
第1打席で二塁打を放ち、その後の打席を注目していたが、同じようなスイングに見えた。出場すれば三振もあるが、私の目にはいずれもあっけなく映った。
同じように構え、同じように打ち取られている。例えばもっと重心を下げてみる、コンパクトなスイングを心がけ、フォロースルーを小さくするなど、変化をつける意図は見えなかった。
レギュラーに近いところにいるのだろうが、これではまだまだ物足りない。私は安田、平沢、藤原はファームでの巨人戦の頃からずっと注目してきた。高卒プロ入りの左打者として、どんな意識で取り組むのか、期待してきた。
柳田のバッティングを藤原はどう見たか。柳田は第1、2打席と、本塁打を連発した第3、4打席ではスイングに変化をつけていた。上空はアゲンスト(向かい風)、しかしその下層では風は逆方向に舞っており、ライナー性の打球ならばフォロー(追い風)だった。
柳田はそうした部分を体感して順応していた。第3、4打席は、意識的にミート中心に、ヘッドスピードを利かせ、フォロースルーを小さく、言ってみれば「パチンッ」とたたくようにとらえていた。
打球は低く、風を味方によく伸び、バックスクリーンに届いた。豪快なスイングの印象もある柳田だが、こういう変化をつける部分はとてもクレバーだ。
私には藤原の構えは柳田を参考にしているように見えた。そういう意識があるなら、こういう部分も見習ってもらいたい。守備位置のセンターからでは、そこまで観察できないだろう。打った瞬間に柳田から目を切り打球を追うため、フォロースルーの小ささは分からない。
リプレーでしっかり確認して、ヒントにしてほしい。藤原はZOZOマリンをホームにしている。ならば、強風時のフリーバッティングでいろいろ試せるはずだ。どういう意識でミートすればライナーがどう飛ぶのか、練習から試さなければ、いきなり試合で実践はできない。
いいお手本を見せてもらったと、藤原はこの試合から何かを探り、身につけてほしい。(日刊スポーツ評論家)