試合終盤には1点差まで追い上げられた巨人だが、今後の巻き返しに向けて「明るい兆し」があった。なんといっても期待の若手・秋広の成長だろう。1点リードの4回無死一、二塁、初球の真ん中低めスライダーを今季2号3ラン。バットの先でこすった高いフライだが、ライトスタンドまで運んだ。持ち前の長い手足を生かしたバッティングだった。

ここまで3割を大きく超える打率をマークしているが、期待される1発は1本だけだった。長所でもあるが、「当て勘」がいい右投げ左打ちの打者は「アベレージヒッター」が多く、意外とホームランが少ない。秋広も得点圏打率は高いが、走者がいない場面での打率は低い。これはホームランを狙っていい場面で、必要以上に力み、打ち損じてしまうからだと思っていた。

自分の長所を正しく理解すれば、それほど打率を落とさずにホームランを増やせる資質を持っている。得点圏にいるときはセンター方向に軽打狙いでチョコンと当てるようなバッティングをするが、それでは長打は増えない。必要以上に力まなくても、センター方向へしっかりとスイングを心掛けるだけでいい。今試合のように力のない変化球なら自然に引っ張ればいい。そして外角ならセンターから逆方向、内角ならセンターから右中間方向に、コースなりに打ちにいくだけでも、スタンドに運べる。

試合終盤に左腕がくると、代打を送られていたが、今では最後まで試合に出してもらえるようになった。結果を気にしすぎると、チョコンと当てる軽打をしたくなる気持ちも分かるが、ある程度、レギュラーとして出場させてもらえるなら、小さくまとまらずに一気に主力選手を目指してほしい。そのためにはそれほど足が速いわけではないだけに、やはり長打力は欠かせない武器だろう。

結果を出しており、今後は厳しい内角球も増えるだろう。ホームベースから離れて立つだけに、苦しむ可能性はある。そして試合に出続ければ疲労もたまる。ここからが正念場。自分が主力選手として活躍するにはどうすればいいかを考え、乗り越えてほしい。チームにとっても若手の活躍は活気づいて勢いが出る。低迷するチーム浮上のカギも、秋広が握っている。(日刊スポーツ評論家)