球団史上初のリーグ2連覇を目指す阪神。キャンプ初日のブルペンから早速、各投手の仕上がりぶりに驚かされました。まだ2月1日だというのに、多くの投手がすでに仕上がった状態でキャンプイン。もちろん全投手をチェックできた訳ではありませんが、中でも村上投手、岡留投手、そして門別投手の球質の良さには目を見張るものがありました。

門別投手が投げている姿を見るのは個人的には今回が初めて。なぜ球の強さに関して「すごくいい」と評判になっているのか、よく理解できました。打者にとって一番嫌なポイントは「投手の力感よりもボールが来ること」。そこにギャップが生まれるのが嫌なわけです。門別投手の場合、力感のないフォームから球の勢いと質でギャップを生み出せる。ある程度は試合を作れるタイプでもありますし、まだ高卒2年目の19歳とはいえ、期待値がどんどん上がってしまうのも致し方ないかもしれません。

門別投手の場合、しっかり指にかかったボールの質がとにかくいい。ベース上でも力強さを感じます。打者目線で言えば、どんどん真っすぐで押されて、たまに内角高めを使われたら嫌だな、という印象の投手。岡田監督の期待値を踏まえれば、確かに12球団屈指の陣容を誇る先発ローテにも割って入れそうな逸材と言えるでしょう。

それにしても阪神はどんどん若い投手が台頭してくる、いい循環に入っていますね。きっと環境の良さも影響しているのだと想像します。レベルの高い投手が先発、救援ともにそろう阪神には絶えず「競争」が存在します。1年間良かったから翌年は安泰とはならない層の厚さがあり、離脱したら誰かに出番を奪われるというプレッシャーもある。一方でたとえ実績がなくても、良ければ使ってもらえる可能性がある。そんなハイレベルな土壌が投手個々のレベルアップを日々促しているように感じます。(日刊スポーツ評論家)

ブルペンを視察する日刊スポーツ評論家の鳥谷氏(撮影・上山淳一)
ブルペンを視察する日刊スポーツ評論家の鳥谷氏(撮影・上山淳一)
阪神岡田監督(右から2人目)とブルペンを視察する鳥谷氏(左)。右は下柳氏(撮影・上山淳一)
阪神岡田監督(右から2人目)とブルペンを視察する鳥谷氏(左)。右は下柳氏(撮影・上山淳一)