宗山塁の初の対外試合は、非常に落ち着いていた。初回先頭で左腕根本の2球続いたほぼ真ん中の真っすぐを中前に運んだ。左投手に対して、しっかり先に始動してタイミングを合わせるところは、打つべくして打った内容だった。

第2打席は際どいコースをしっかり見極めて四球を選び、いいスタートで二盗も成功させた。第3打席は、150キロの真っすぐを再び中前に。スイングを見る限り、引っ張る意識よりも、広角に打とうとする印象を受けた。アベレージを残すためには好打者の必須条件。打撃内容は良かった。

また、守りでもゴロを正確に処理していた。反応、足の運び、捕球、スローイングはいずれも落ち着いていた。やはり、バタバタしないで見ていられることは、新人選手にとってはとても大切なこと。対外試合としてはいいスタートを切った。

と、ここまでは目玉のルーキーを見ての解説だが、実はこの試合、私がもっとも緊張感をもって注目したのは5回表の今川優馬の打席だった。ここは評論家として譲れないポイントだった。

今川は3回表、代打で登場し、2球ストライクを見逃し、止めたバットにボールが当たる内野ゴロ。そこまで、打線は高確率でファーストストライクを振っていた。それだけに今川の打席は際だって悪く映った。

チームに乗り遅れている。今川はそれを自覚し、学習しているか。新庄監督の掲げる野球の理解力がどこまで浸透しているのか。この今川の打席でひとつの確認ができると狙って見ていた。

結果は、ファーストストライクを打ち中前打。5回までに打者31人のうち、ファーストストライクをスイングしたのは25人、80・6%という高確率だった。同様に打席で2球ストライクを見送ったのは3人のみ。

これがベンチの指示か、打者の自発的なものかわからないが、どちらにせよ、この時期にこれだけの精度でしっかりスイングし、打線として取り組めることが素晴らしい。犠飛を絡めた攻撃や、走塁まで含めると、先制の3得点の奪い方にはうまさを感じた。

裏を返せば、バッテリー有利なカウントで組み立てられなかった楽天の苦戦が浮き彫りになったが、日本ハムの高い意識と連動性には驚かされた。宗山も上々の滑り出しを見せ、パ・リーグの激しい攻防に期待を抱かせる練習試合だった。(日刊スポーツ評論家)

楽天対日本ハム 1回裏楽天無死、中前打を放つ宗山(撮影・鈴木みどり)
楽天対日本ハム 1回裏楽天無死、中前打を放つ宗山(撮影・鈴木みどり)