交流戦に入って3試合目になる巨人だが、いまだに勝ち星を挙げていない。雨で中止の試合もあり、まだ3試合だけで、すべて接戦での敗戦だった。それほど目くじらを立てる必要はないとも言えるが、負けた相手はパ・リーグ最下位のロッテと2試合、そして5位の楽天を相手にした連敗だった。内容が悪く、得点できそうな気配がしなかった。

この世界では「打てないときは機動力を使え」と言われている。機動力を使った野球というのは、言葉で言うほど簡単ではない。エンドランを仕掛けようとしても、紙一重でカウントが整わなかったり、盗塁をしようと思っても、走りにくい状況になってしまう。しかし、それで諦めてしまったら活路は開けない。実際、巨人にエンドランを仕掛ける状況はなかったが、盗塁を仕掛けるチャンスを見逃してしまっていた。

1点をリードされた7回裏2死一塁、走者はオコエだった。代打でリチャードが送られ、走りにくい面はあったが、わずか2球で追い込まれ、盗塁がアウトになっても次のイニングで再びリチャードが先頭打者で打席に入れる状況だった。

走れる根拠は十分すぎるほどあった。先発したハワードのクイックは1・20秒台。このタイムだと、かなりのレベルのスピードがないと走れない。しかし、この場面では初球に1・25秒をマークしただけ。2球目以降は1・30秒台で、4球目から7球目までは1・40秒の後半。普通の走者でも走れるタイムだし、盗塁を仕掛けてほしかった。

オコエは1打席目も2打席目も一塁走者になった。2回2死一塁では打者の門脇が初球を打ったために走れなかった。5回1死一塁では、走ってアウトになると、次のイニングは投手から始まってしまうため、走りにくかっただろう。しかしこの2打席で6球もハワードのクイックを見ている。3度目の走者では、2球以降にクイックをしなくなったのも、前の2打席を経験していれば分かるはず。楽天バッテリーにも走る気がないと判断されてしまっていた。

チーム状態が悪いときは、なかなか機動力を使うチャンスは巡ってこないものだが、みすみす走れるチャンスを見逃しているようでは話にならない。サインが出ていなかったのか、オコエが萎縮したのかは分からないが、せめて相手を警戒させるようなプレッシャーはかけてほしかった。

今試合から本拠地に戻り、お亡くなりになった長嶋さんの背番号3を左胸に着けて試合をした。早く勝ち星を挙げ、弔ってほしい。(日刊スポーツ評論家)

巨人対楽天 5回裏巨人1死、左前打を放つオコエ(撮影・水谷安孝)
巨人対楽天 5回裏巨人1死、左前打を放つオコエ(撮影・水谷安孝)