交流戦に入って3連敗で、ここまで5連敗していた巨人が、やっと連敗を止めた。長嶋さんが3日にお亡くなりになられてから、初めての白星だった。誰よりも巨人を愛していた長嶋さんだけに、天国で喜んでいると思う。もちろん、長嶋さんの訃報が原因で負け続けていたわけではないが、巨人ファンの皆さんも、モヤモヤした気分に一区切りついたのではないだろうか。
それでは試合を振り返りたい。巨人の先発はグリフィンで、楽天は高卒でプロ入り2年目の大内誠弥投手(19)が初先発した。こう言っては大内に申し訳ないが、正直、巨人の連敗が止まる可能性が高い試合だと思っていた。興味は勝ち負けを度外視して、若い右腕がどういうピッチングをするかだった。
なかなかの将来性を感じさせるどころか、試合展開によって勝ち星が付く可能性がある内容だった。さすがに初回の先頭打者・泉口に四球を与え、2回にも先頭打者・増田陸にライト前ヒットを打たれたが、いずれも後続を抑えて無失点。打順が2回り目になる3回からは、落ち着いたのだろう。2イニングをパーフェクトで2三振を奪った。
191センチと上背があり、真っすぐに角度がある。球速は140キロ台の中盤から後半だが、上からの角度があるため、高めから曲がるカーブが効果的に使えた。おそらく本人はチェンジアップに自信があるのだろう。決め球として使えていた。初対戦ということで、まだ未知数な部分はあるが、次回のピッチングも楽しみだと感じさせてくれた。
ただ、残念だったのは、もう1イニング投げさせてほしかった。5回表、先頭打者で打席が回ったため、代打を送られ4回無失点で降板。交代の理由として「内容がいいうちに降板させて自信をつけさせる」と「単純に打てない打線だから代打を送ってチャンスメークする」があっただろう。しかし、球数は61球。5回裏の巨人打線は7番の下位から始まる。調子も上がってきたし、先発として大きく育てたいならせめて5回まで、球数としても80~90球ぐらいをメドにしてもらいたかった。
近年、どの球団も選手を大事に起用することが主流になっている。ひどい酷使をされた時代より合理的だが、あまり過保護になりすぎると、成長の妨げになる。勝ち負けに関係なかったとしても、先発投手にとって5回というイニングは重要。その意識付けをさせるという点でも若い投手に意味はある。
ピンチを迎える前に降板させて自信を付けさせるやり方を否定はしないが、疲れが出てきたところでピンチを迎え、どう抑えるかを経験させた方が、自分に何が足りないのかを実感できる。それを元に練習した方が、はるかに効果的だし自分自身のためにもなる。大事に使いすぎて付いた自信など、本当の自信ではない。近年、そうした安っぽい自信が成長を妨げているケースが多い気がする。
確かにチームの勝ち星は重要だが、長い目で見れば大内の成長がチームを助けることにつながる。(日刊スポーツ評論家)




