楽天元監督の平石洋介氏(45)が巨人-楽天3回戦(東京ドーム)を評論した。1点ビハインドの8回に3番手で上がった藤平尚真投手(26)が岸田に満塁本塁打を打たれ、勝負あり。前日にも2本塁打された右腕の現状を分析する。
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楽天は、8回の満塁本塁打で試合を決められた。岸田にやられたが、直前2死一、二塁での若林への四球が痛かった。ただ、これは若林がよく我慢したと思う。藤平は初球からフォークを連投。初球こそ見逃しストライクを奪ったが、2球目、3球目の低めを振ってもらえなかった。それでカウントを悪くし、歩かせた。そして、四球直後の初球真っすぐをフェンスオーバーされた。
藤平は前日7日も2本塁打された。確かにボール自体、あまり良くない。原因は何なのか。仮に投球フォームなどの技術面であれば、このまま1軍で戦っていくのは難しくなる。ファームで再調整の選択肢が浮上する。ただ、私にはメカニックに問題があるようには見えない。むしろ、考えすぎて「投げっぷり」が悪くなっているのではないだろうか。言葉では伝わりにくいかもしれないが、ここ数試合の投球には「躍動感」がない。マウンドでのしぐさを見ていると、どう投げようかと、いろいろ気にしているように映る。対打者ではなく、自分と闘っている印象だ。
もちろん、どんな投手でもいいとき、わるいときはある。だが、リリーフに転向して迎えた昨季は、もっと腹をくくって投げていた。全て狙ったところにいかなくても、とにかく打者に向かって腕を振る。その荒々しさが打者に圧を与えていた。だから、甘いところに入っても抑えられていた。
オフには侍ジャパンも経験した。周りの見る目も変わり、ハードルが上がったのは間違いない。もしかしたら、もっといいところに投げないととか、丁寧にいかないととか、考えてしまっているのかもしれない。しかし、藤平の良さである打者を圧倒する投げっぷりが失われては、意味がない。もう1度、本来の荒々しさを出す気持ちで投げて欲しい。逆に言えば、去年の活躍があったからこそ、抱える悩みでもある。プロ野球で成功する人は、みんなが通る道。苦しい経験もマイナスと捉えず、取り組めばいいと思う。
先発した藤井は非常に良かった。左打者の懐へのシュートが効いていたし、右打者にも内への真っすぐがカット気味に入る。4回の岸田の先制打は、その真っスラを続けて追い込んでから、外のチェンジアップを拾われた。岸田は1打席目も外のチェンジアップに手を出し、中飛。内の食い込む球を我慢して、徹底して外の落ち球が浮くのを狙っていたのだろう。打った方を褒めるしかない。藤井はこの日のような投球を続けていけば、白星は付いてくるはずだ。
それだけに、打線の奮起が待たれる。この日は戸郷にやられたが、巨人戦はもう終わった。交流戦は短期決戦の連続。切り替えて、次カードに臨んで欲しい。(日刊スポーツ評論家)




