停滞ムードが漂っているチームに必要なものは何か? 勝負事に付きまとう永遠のテーマだとも言える。これが正解だと断言できる答えはないが、ベンチは選手が力を発揮しやすい環境を整えてあげることが大事だと思っている。その方法にはいろいろとあるが、優勝を目の前にして2連敗中だったソフトバンクは無策のまま3連敗を喫した。
試合は0-0のまま6回裏を迎えた。ここでソフトバンクは1死満塁という絶好の先制チャンスを迎えた。打席は8番の海野だった。今試合前までの打率は2割2分9厘で、この打席まで8打数連続無安打が続いていた。内容も悪く、8打数のうち6三振を喫していた。スイングを見てもとても打てそうな気配はない。ここは代打で勝負をかけるべきだと思ったが、そのまま打席に送り、空振り三振に終わった。
0-0の展開で捕手を代えたくない考えは理解できる。しかし先発の大津は既に97球で、このイニングが終わった直後の7回には、藤井をリリーフさせている。投手を代えるタイミングなら、海野に代打を起用できたはずだし、ベンチ入りの捕手は嶺井、谷川原、石塚との4人体制だった。勝負をかけていい条件はそろっていた。
この試合前には、デーゲームで優勝マジックの対象チームである日本ハムが敗れていた。この時期になると、勝ってマジックを減らすより、ライバルチームが負けてマジックが減る方が「ありがたみ」を感じるもの。特に2連敗中のソフトバンクにとっては、思い切って勝負できる流れだった。ベンチが動いて得点できなければ、それはベンチの責任だと選手に伝わるような戦い方ができれば、選手の負担は減らせる。
今試合ではエンドランなどの戦術も見受けられず、試合はオリックスに0-1で惜敗した。それでも残り9試合を6勝3敗で乗り切れば優勝できる。一方の日本ハムは7戦全勝でも届かないのだから、数字的にみればまだまだソフトバンクが有利な状況は変わらない。とにかく今は連敗を止めるため、選手のプレッシャーを和らげてやる戦術に徹するべきだろう。日本ハムの勝敗に関係なく、連敗を止めた時点でマジックは1つ減る。勇気を持った戦い方で、目の前に迫っているゴールを目指してほしい。(日刊スポーツ評論家)




