日本三景の1つ、宮島の対岸に位置する広島・廿日市。

観光客も多く行き交う自然あふれる場所で、まるで漫画の世界のようなトレーニングが行われていたという。

「クラゲには刺されませんでした。1時間か、2時間ぐらいですかね。泳げない人もいましたけど…。でもその当時は、普通のメニューでしたよ。遠泳は」。そう笑顔で話すのは、元広島の投手で現在は楽天の広報・伊東昴大だ。

スタート場所は、同市にある大野寮付近の海岸。そこから対岸までを泳ぎ切る。約2キロだという。「流れは意外に緩いんですよ」と笑うが、往復約4キロを泳ぐ選手もいたと言うから、びっくりだ。とてもプロ野球選手の練習とは思えない。シーズンを終えたオフの時期に行う、広島若手の練習の1つだったという。「1つ下に中崎がいて、あいつも普通に泳いでました」。3年連続で胴上げ投手になった広島の守護神も、泳いでいた。

まもなく平成が終わろうとしている。「時代が変わった」なんて言葉もよく耳にするようになった。それでも、古き良きものもある。セ・リーグで他を寄せ付けない強さを誇った広島。“宮島泳ぎ”が、その根幹にあったのかもしれない。【楽天担当 栗田尚樹】