熱男のボルテージが少しずつ上がってきている。
巨人松田宣浩内野手(40)が、ジャイアンツ球場で汗をぬぐった。「もう1回しっかり鍛えることもしないといけないし、数を振ることもしないといけない。1軍であろうと2軍であろうと、このユニホームを着て1年目なんで、毎日が新鮮にやっていますね」。開幕1軍スタートも、4月14日に登録を抹消。ファーム暮らしが続く中で、グラウンドには変わらぬ松田の姿があった。
2カ月間に及ぶ、2軍再調整で強い打球を取り戻そうともがいている。「速い球をはじき返す。それが自分の持ち味で、今年18年目になるまでやってきた。(今季は)率を残したいというのがあって、少し受けて打っていた自分もいたんで。ファームに落ちて、最初はどうも打球が弱かった」。石井昭男打撃コーチから、前めに置いたかつての打撃ポイントを指摘された。「やっぱりそうなんじゃないかといってもらった」と、再構築へかじを切った。
「僕のヒットってきれいなヒットじゃなくて、根性というか、不細工というか、ガツガツ打ちにいくタイプのヒット」という自覚は、“気持ちで打つ”ことと同義語なのかもしれない。18・44メートル先から投げてきた球に食らい付いて、はじき返す。「技術」と同じくらい、もしかしたら松田にとってそれ以上に大事なのは「気合」の2文字。ジャイアンツ球場を往復するかたわらで、そんな自分を思い起こした。
イースタン・リーグでのゲーム。二岡智宏2軍監督からエンドランのサインが出た。その打席、左方向へ強い打球を飛ばした。「そのエンドランが決まったときの感覚というのが、なんか僕らしい打ち方、僕らしいヒットだったんですよ」。プロ18年。その土台には、幾度も修羅場を乗り越えてきた経験値が詰まっている。呼び起こされた感覚を信じて、再現しようと繰り返す。
その直後だった。5月17日、40歳の誕生日にイースタン・リーグ1号本塁打。横須賀スタジアムの左翼スタンドへかっ飛ばした。「自分らしい打ち方ができたんじゃないかなと思っているんで、そういう見えない自分のポイントがここだっていうのが、良くなってきた」。巨人のユニホームを着て初アーチ、しかも誕生日弾の喜びはあった。それ以上に、現状打破への階段を着実に登った手応えの方が、うれしかったはず。ダイヤモンドを1周し、ベンチ横で初披露した熱男パフォーマンスに込められた意味合いは、想像よりもきっと深い。
「僕にとっては1日1日が毎日ステップ。そういう意味では落ち込むことなく、やってやろうという気持ちでいます」。強くなる日差しに負けじと、バットを振る。【巨人担当=栗田成芳】




