プロ野球記録を更新しても、試合後の阪神石井大智投手(28)は普段と変わらず淡々としていた。8月17日巨人戦(東京ドーム)。前人未到の40試合連続無失点を達成し、NPB記録を塗り替えた。記録について問われても「たまたまです」とキッパリ。淡々と答えた一方で、少し続けて話していたことがある。
「その『たまたま』を引き寄せる、いろんなことをしている自覚はあります。結果は結局自分の中で左右することはできない。そこの準備というのはしっかりプライドを持ってやってきたつもりではあります」
いくら自分が最高のボールを投げようと、相手や条件などによって結果は日々左右される。だからこそ、石井は積み上がった記録よりも丁寧に重ねてきた準備の面に胸を張ったのだと感じた。
同時にその言葉を聞いて思い出したのが、今季のオールスターでの投球だった。7月23日の第1戦(京セラドーム大阪)。プロ5年目で初めての球宴だ。8回に登板すると日本ハム清宮幸、万波、ソフトバンク柳町をオール真っすぐで3者凡退。真っ向勝負で強打者をねじ伏せた。
圧巻の内容を見せた一方、気になったのは直球勝負の理由だ。実は事前に聞いていた球宴への意気込みでは正反対の事を語っていた。「僕は多分打たれると思う。全部の力を駆使して、全部の球種を駆使して打たれようかなと」。一転して選んだ力勝負。後日尋ねると、その理由はまさしくシーズン後半戦に向けた「準備」だった。
「球数をあまり投げたくなかった。オールスターが終わったら、中1日しかない。そのスパンも考えて。とりあえずランナーが出るまでは真っすぐで行こうかなというのを誠志郎さんと話して。球数がかさんで終わらないなら、変化球でもいいかな…という」
結果的にこの日要した球数は14球。球数を使いすぎることなく、想定通りに球宴での登板を終えた。年に1度、まして自身初の“お祭り”でも浮かれることなく、頭の片隅には常に後半戦への意識があった。
19日中日戦(京セラドーム大阪)でも1回無失点。日本記録を41試合連続に更新した。泰然自若に伸ばしていく記録は、日頃からの準備のたまものだ。【阪神担当=波部俊之介】




