成田(千葉)古谷将也捕手(3年)の「特別な夏」が来た。9球団のスカウトが見守る中、初戦に1番捕手で出場。3打数2安打の活躍で富里を破った。「よくなかったけど、今日の2本は次の試合につながる」と笑顔で話した。
特別な思いで大会に臨んでいる。約1年前の夏。成田のグラウンドには熱心に練習試合を観戦する老人の姿があった。「僕のじいちゃんです」とうれしそうに話した。
成田野球部OBの祖父亘さん(享年81)の影響で野球を始めた。両親が共働きだったため、いつも練習の相手は祖父と兄。庭でティー打撃が日課だった。休日にはプロ野球観戦にも連れて行ってくれた。「小さいころはいつも一緒。じいちゃんが大好きなんです」。成田進学後は練習試合にも足を運んで、孫の成長を見守ってくれた。
しかし、今年3月11日。病気で他界。家族が見守る中、最後の言葉は古谷への「頑張れ」のひと言だった。「じいちゃん、プロに行く姿を見せるからね」。涙で約束を交わした。
祖父の心臓近くの遺骨が入ったペンダントを身に着け大会に臨む。熱い思いを手紙に託し、古谷の夏が始まった。【保坂淑子】