恒例「言葉の力」を全2回で送ります。特殊なシーズンになってしまった令和2年も、言葉の力は不変でした。第2回はグラウンド外の「人情編」。
◇ ◇ ◇
侍ジャパン稲葉監督「6月に開幕し、みなさんが少しずつ喜んでいる姿を見て、やはり野球はいいなと。スポーツの持つ力は非常に強いと感じた。来年の五輪がどうなるか正直分からない部分もあるが、金メダルを取って、みなさんと喜び合いたいという新たな気持ちになった」(7月17日、契約延長の会見で使命を示した=広重竜太郎)
阪神井上打撃コーチ「選手のモチベーションを上げるために、コミュニケーションモンスターになりたい」(コーチ就任会見でキャッチーな所信表明=奥田隼人)
レイズ筒香「日本人は助け合いの精神があります。こういう状況だからこそ、みんなで助け合っていかなければ」(新型コロナウイルスの感染拡大を受け、3月2日から全国多くの小中高校で一斉休校となった。日常が急に奪われ、外で自由に遊ぶことも難しい、少年少女へのメッセージを送った=為田聡史)
阪神藤川「『野球選手、藤川球児』というのは、皆様の気持ちのかたまりだったのだと思います」(11月10日、自身の引退試合で。火の玉ストレートには、ファンの熱い思いが詰まっていたと感謝した=磯綾乃)
巨人堀田「お父さんやお母さんには『ため込まなくていいから』と言われたり、地元の友達からは『がんばれ』とか。シンプルな言葉ですけど、一番の励みになってます」(12月8日の契約更改。4月に受けたトミー・ジョン手術のリハビリ中に支えとなっている言葉について=久永壮真)
巨人宮本投手チーフコーチ「幸せになってほしいんだよね、みんなに」(10月15日、けが人が出ながらもみんなで穴を埋め、リーグトップのチーム防御率を守り抜いていた投手陣への思い=久永壮真)
西武中村「ネタがないからって僕を使わないでくださいよ~(笑い)」(3月4日付で、やくみつる氏のイラストが、おかわり君の塗り絵となって本紙1面を飾り=栗田成芳)
西武栗山「どこまでいっても選手たちの声しか聞こえない。自分の鼻息さえ相手に聞こえてしまうんじゃないかという、目に見えない緊張感を常に感じていました。ファンの皆さんの声援とか期待感とか残念感とかどこまでいっても伝わってこない寂しさを感じました」(12月13日、初の無観客試合を振り返り、ファンの存在を実感=栗田成芳)
BC・栃木・川崎宗則内野手「みなさんが持っている腰痛と一緒。これからも付き合っていく病気。でも野球が好きで野球をやりたいという思いで今ここにいます」(8月24日。BC・栃木の練習に参加し、自律神経の病気を抱えながらも、プレーを続けていく覚悟を語った=湯本勝大)
創価大・岸雅司監督「いろんな人に感謝。こういう終わり方ができるというのは日本一以上に価値があること」(12月12日、監督勇退が決まり、37年間の指導者生活をふりかえって=湯本勝大)
花咲徳栄・井上朋也主将「自分は甲子園に2回出ているけど、今回初めての選手がいっぱいいた。夏もう1度連れて行けるように頑張ります」(3月11日、センバツが中止となって真っ先に出た言葉は、仲間を思いやった=湯本勝大)
常総学院・松林康徳部長「『まだ若いんだから勉強しろ』が最後の言葉でした。普通の高校生だった自分に努力の大切さを厳しく教えてくれて、すごい経験(03夏全国制覇)をさせてくれた。木内監督は最後まで教育者で、僕にとって一生、監督です」(木内幸男氏、死去に際し=保坂淑子)
日体大・古城隆利監督「自分たちの力でチームの価値を上げ情報発信をする。コロナを期に、たくさんの選手に光を当てていきたい」(練習風景、オープン戦の動画配信について=保坂淑子)
日大三・小倉前由監督「選手たちに伝えたい思いはただひとつ。今も、そしてこれからも、一生懸命だぞ、ということ。君たちがやってきたことは絶対にプラスになるんだ」(5月20日、夏の甲子園中止を受けて=保坂淑子)
興南・我喜屋優監督「夢は甲子園だけではないから。人生はもっと向こうにある。それがなくなった今は違う目標を作って成長する目標をみつければいい。悲劇のヒーローになってはいけないよ」(5月20日、沖縄の監督有志が集まり動画で「栄冠は君に輝く」を歌い球児を励ました=保坂淑子)
日本ハム大田「やっぱり人が見てくれるというのはすごくありがたい。お客さんが球場に来て、いいプレーを届けるというのが僕らの仕事。そこにチームの勝利があってファンが喜ぶ。本当に見に来てくれて感謝してます」(7月30日、今季初めて観客の前で1発を放ち勝利に貢献。ファンへ感謝の思いを口にした=山崎純一)
日本ハム中田「家族にとっても特別な1日になったんじゃないかなと思います」(8月9日、長男の1歳の誕生日でヒーローに輝き、かっこいいパパの姿をみせた=山崎純一)
日本ハム斎藤「自分自身の状況と置かれている立場を、ちゃんと把握しているつもり。ただ、それでもやっぱり『野球はやりたい」』という気持ちが強かった」(12月9日の契約更改後、10年目で初めて1軍登板なしに終わり、右肘を痛めている現状について問われ=木下大輔)
日本ハム栗山監督「論語の『慎独』。1人でいるときにちゃんとやっているのか。1日たりとも無駄にしちゃいけない。生きざまを問われている」(5月7日、緊急事態宣言の中で思うことを問われ=木下大輔)
創価大・保科広一外野手「プロ志望届を出した者にしか分からない気持ちがある。呼ばれても、呼ばれなくても意味があると思ってた。でもやっぱり指名されて良かった」(11月10日、巨人育成ドラフト11位指名を振り返って。ホッとした表情が印象的だった=小早川宗一郎)
マリナーズFAの平野「急変するかもしれないし、自力で治すしかない。治療薬もなく、多少の不安はありました」(7月22日、コロナ感染から回復し、チームに合流。自宅での安静期間を振り返って=四竈衛)
マリナーズ菊池「ちょっとグッと来るものがありました」(8月27日、今季初勝利を平野との初リレーで挙げて。コロナ感染で出遅れた先輩平野の優しさに感謝しつつ=四竈衛)
ヤンキースFAの田中「チャンピオンリングを取ることはできなかったですが、一選手、人間として、本当に言い表せないくらい、たくさんのことを学ばせてもらいました」(10月9日、7年間プレーしたヤンキースからFAとなった心境を=四竈衛)
ソフトバンク和田「甲子園で試合はできないまでも、土を持って帰るでもいいし、そこで卒部式をしてもいいし、優勝した思い出を作れればと」(5月21日、夏甲子園が前日に中止となり独自の県大会で優勝したチームのことを思い=浦田由紀夫)
ロッテ唐川「ファンの方にSNS上でコメントをもらったり、そういう声も僕に届いていた」(12月4日、海外FA権非行使の理由を説明=金子真仁)
ロッテ谷保恵美さん「ZOZOマリンスタジアムに、おかえりなさい」(7月10日、今季本拠地初の有観客試合でファンを泣かせる場内放送=金子真仁)
ミズノテクニクス名和民夫さん(バット職人)「一般的に長距離打者のグリップは細く、ハンマー効果で遠くに飛ばす。それに比べ、安打の延長線上が本塁打という考えなのかなとバットから読み取れる」(12月9日、ヤクルト村上が中距離打者向けのバットで本塁打王争いをしたことのすごさを端的に示した=鎌田良美)
ヤクルト奥川「他人に対して怒ることがない。野球でうまくできない自分にイライラする。(ブルペンで)よくニコニコしてると言われますけど、意外と怒ってます」(3月26日、ストイックな一面。広島大瀬良も以前同じことを言っていた=鎌田良美)
巨人岩隈「集中して全力で投げたその1球で引退を考えた。体力の限界を感じた1球だったし、めちゃくちゃ痛かった」(引退を決意したシート打撃の1球を振り返る表情は穏やかだった=久保賢吾)
広島長野「えっ? 行ってませんよ」(日本シリーズ移動日、大阪から福岡への途中駅の広島駅ホームに現れた。巨人坂本らは窓越しの対面に感動。今でも理由は不明で、本人も否定するが…。バッチリ写真に写ってます=久保賢吾)
小谷正勝氏「勝負の世界で生きてきた。私はがんと闘って、絶対に負けない。決してマイナス思考にならず『この野郎』の精神で立ち向かっていく」(がんの手術後、本紙で連載を開始するにあたって、思いを語った。名伯楽のプライドが込められた=久保賢吾)
巨人坂本「一番、応援してくれてたのは母親。今もどこかで見てくれてるのかなって思います。オフになったら、お墓参りに行って、『2000本打ったよ』と報告したい」(11月8日ヤクルト戦で2000安打を達成。プロ1年目に亡くなった母へ=久保賢吾)
阪神藤浪「人の痛みが分かるようになりました。人間として1つ成長できた、大きくなれたのかなと思います」(8月21日、692日ぶり白星の直後。イップス説や新型コロナウイルス感染を乗り越えるまでの苦悩がにじんだ=佐井陽介)
広島大瀬良「黙ってそばにいることが、何よりのメッセージだったりする」(7月8日、2人で早朝トレを続けてきた同学年堂林が再ブレークして三塁復帰に=前原淳)
広島鈴木誠「僕は3年目にレギュラーを取らないとクビになると思っていた。1年目からレギュラーを取るつもりだった。今の子たちは遅い。そんなことをやっていると消えてしまうよと伝えたい。そんな甘い世界じゃない」(1月11日、自主トレで若手にげき=古財稜明)
中日吉見「この球場に育ててもらった。無意識に、ありがとうという言葉を伝えたかった」(11月6日、15年の現役生活最後の引退登板で、登板前後にプレートをなで別れを告げた=伊東大介)
中日大野雄「ドラゴンズで優勝したい。投げる度にどんどん(残留の)気持ちは強くなった。恩返しがしたい」(11月11日、国内FA権を行使せず、中日残留を表明=伊東大介)
清原和博氏「自分の野球人生の中でバットを振ってボールが上を通っていくっていうことは初めてのことでした。完敗です」(阪神藤川の引退セレモニーにVTR出演。強い絆を感じた=桝井聡)
横浜元監督・渡辺元智氏「高校球児にとって最悪の決断が出た時に『ああ、俺ら全てを失っちゃった』じゃなくて、何か備える気持ちというものも、指導者の方が教えていいのかなと思う」(4月30日、コロナで夏の甲子園開催が不透明となる中、指導者に必要な心構えを語った=古川真弥)
早大・早川隆久投手「テレビでマツコさんが『こういう時こそ、人間の本性が現れるよね』と。野球に当てはめてみたら、もう1回、自己分析して成長するのは大事だなと感じました」(10月20日、インタビューで自粛期間中の過ごし方を尋ねると、マツコデラックスの言葉が意識を変えるきっかけだったと明かした=古川真弥)
西武球場前駅・石田大志駅長「『本当によかった。お帰りなさい』という気持ちでした」(10月6日、無観客が明けファンが戻った駅に立った7月の心境を回顧=古川真弥)
巨人今村「9年目ですし、引っ張っていかないといけない立場にある。いつまでも菅野さんや(坂本)勇人さんにおんぶにだっこじゃダメ」(2月15日、今季への覚悟=久永壮真)
阪神矢野監督「みんな何かしら応援したい、と。僕たちが土を集めることで、キーホルダーの中に僕たちの思いも入って球児に届いてほしい。気持ちを届ける」(6月8日、全国の高校3年生球児へエールを込めて「甲子園の土」入りキーホルダーを贈呈することが決定=松井周治)
オリックス・ジョーンズ「ここまでMLBで14年間、日本で1年間、高いレベルの中で大きなけがもなく、健康でやってこられたことに感謝したい。愛する家族にも感謝」(9月10日の西武戦で日米通算2000安打を達成して周囲へ感謝=真柴健)
オリックス山岡「試合中のマウンドで考えたって、何も変わらない。調整で全てが決まる。だから、やっておきたいことは全部やっておく」(先発調整の練習中に。1試合に懸ける思いを吐露した=真柴健)
オリックス山本「野球のことを考える回数がどんどん増えていくことで、どんどん上手になっていくと思う」(開幕直前、野球少年のように目を輝かせての一言=真柴健)
楽天久保「大きく気持ちが変わった。便利屋の生き方、何でもできることの強みを教えてくれた。やりきったと胸を張って今なら言えます」(11月7日、引退会見で巨人時代の先輩、故木村拓也氏へ感謝の涙=桑原幹久)
楽天渡辺直「最後にまた楽天のユニホームを着て引退することは自分の夢だった。幸せだなと思います」(9月13日、引退会見で涙を見せながら、かみしめた=桑原幹久)
楽天石井GM兼任監督「この仕事は非難いっぱい、称賛少し。何を言われようがぶれずに、しっかりまい進していくだけ」(11月12日、監督就任会見で決意表明=桑原幹久)
DeNA仁志2軍監督「木内さんがいなかったら今の自分はなかった。親以上の存在」(12月2日、常総学院元監督、木内幸男さんの通夜で=斎藤直樹)




