日刊スポーツの高校野球特集、第3回は「ピカイチ選手・ホープ編」として、活躍が期待される下級生にスポットを当てた。昨春の神奈川を制した武相に、1年生の大型遊撃手が現れた。渡辺翔塁内野手は中学時代は投手だったが、高校からショートに転向。入学から3カ月足らずで先輩たちを押しのけレギュラーを奪取し、最初の夏を迎えようとしている。

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つい最近まで中学生だったとは到底思えない。182センチ、75キロと1年生離れした身体を誇る武相の渡辺は、今や野球界全体で希少となった右打ちの大型遊撃手だ。長い手足を存分に生かして躍動する姿は、オリックス紅林をほうふつとさせる。「1年の時から力になり、強豪を倒したくて入学した」と昨春V、昨夏4強の武相に進学。早くもレギュラーに定着した。

ゆったりした構えから放つ鋭く伸びるライナー性の打球と、中学時に投手として138キロを計測した強肩を生かした強い送球が大きな魅力だ。投手として入学したが、豊田圭史監督(41)が素質を見込み、試しに遊撃で起用した。それまで経験はほぼなかったというが、監督がほれ込む守備の動きで、遊撃手としての挑戦が始まった。

高校時代に投手と遊撃を兼任したソフトバンク今宮を参考に「動画で三遊間寄りの打球の握り替えや足を使っているところをよく見て、自分もできるように」と練習を重ね急成長。未知の動きも素早く体得するセンスの塊だ。守備が一番得意だと言い「1歩目を意識している。肩の強さを見てほしい」と胸を張る。

1年時からのスタメン出場にも「プレッシャーはないです」と堂々。緊張しない性格で「(練習の)手伝いに回っていただいている先輩もいる。その人たちの分も背負ってやりたい」と、既に主力の自覚も十分だ。常に平然とプレーし、言葉にも自信がみなぎる有望株の姿に、豊田監督は「彼の自信は過信じゃないから」と大きな信頼を寄せて評価する。

攻守にメンタル、全てにおいてスケールの大きい渡辺は「練習はきつい時もあるけど、3年生含めて全員で甲子園に行きたい」。57年ぶりの甲子園出場の原動力となる。【寺本吏輝】

◆渡辺翔塁(わたなべ・かける)2009年(平21)8月7日生まれ、神奈川県横浜市出身。6歳から野球を始め小学時代は南瀬谷ライオンズ、中学時は横浜瀬谷ボーイズでプレー。182センチ、75キロ。右投げ右打ち。

グラウンドで笑顔を見せる武相・渡辺 
グラウンドで笑顔を見せる武相・渡辺 
13日、紅白戦に出場する武相・渡辺
13日、紅白戦に出場する武相・渡辺

◆憧れの「石垣先輩」に続く 石垣聡志投手

健大高崎(群馬) 石垣聡志(そうし)投手(1年)が、先輩たちの背中を追いかける。沖縄・八重山から入学した将来のエース候補。春の関東大会では2試合に登板するなど優勝に貢献し、憧れの選手で同姓の石垣元気投手(3年)と喜びを分かち合った。「すごく充実した3カ月でした」とここまでを振り返り「初めての夏でベンチ入りをするために、先輩たちの気持ちに負けないようについていきます」と意気込んだ。

将来のエース候補として期待を受ける健大高崎1年生の石垣聡(撮影・平山連)
将来のエース候補として期待を受ける健大高崎1年生の石垣聡(撮影・平山連)

◆入部1カ月で背番号12 倉方湊都捕手

仙台育英(宮城) 入部してわずか1カ月後の今春、倉方湊都(みなと)捕手(1年)が背番号12をつかんだ。春の宮城大会ではスタメンマスクもかぶった。「試合に出場できるなら、どんな形でも0に抑えたいです」と強気。「守備力だけでも川尻さん(正捕手)に並べるように、ブルペンキャッチャーを含め、目の前の仕事をしっかりとこなしたいです」と力強く口にした。

5月19日、東北学院戦に先発出場した仙台育英・倉方(撮影・木村有優)
5月19日、東北学院戦に先発出場した仙台育英・倉方(撮影・木村有優)