U18日本代表第1次候補にも選ばれている、創志学園のエース西純矢投手(2年)は、父の思いも胸に腕を振る。

 帽子のつばには「緊張するとこわばるので」と「笑顔」と言う文字、そして「10.11」と書いている。昨年、45歳で突然亡くなった父雅和さんの命日だ。「いつも謙虚で、と教えてくれました」。今夏も開会式の後に実家の広島に帰り、雅和さんのお墓に手を合わせた。「『甲子園に行ってくれ』と言っていた。その気持ちを忘れないように」といつも共にある帽子のつばに記した。

 初戦のこの日は、初回に先制のソロ本塁打を許したものの「前半ちょっと左が開き気味だったので、内に残すようにしました」と自ら修正し5回2安打1失点完投。5回コールド発進に貢献した。

 強豪校で2年生ながら背番号「1」を付ける。この日の4回には、長沢宏行監督(65)から「背負いすぎるな」と声をかけられた。それでも「あまり負けない、勝ち運があるんです。打たれても自分で打って勝ったり」と長沢監督も信頼を置くからこそのエースナンバーだ。「自分のピッチングで3年生の先輩に甲子園に行ってもらいたいです」。自分のために、チームのために、そして父のために、夢の聖地を目指す。【磯綾乃】