「元気にしてっか?」甲子園でお会いするたび、聖光学院(福島)の斎藤智也監督(62)にそう声をかけていただく。
記者としての“原点”が聖光学院だった。大学生の頃。ユーチューブで、ある試合が目に留まった。
14年夏の福島大会決勝だ。聖光学院は日大東北に9回で4点ビハインドの展開。同2死一、三塁と好機を演出も、あと1死でゲームセット。そんな崖っぷちの状況から2点適時二塁打で2点差とし、そこから連続右越え三塁打で同点に追いついた。そして延長11回にサヨナラ勝ち。劇的勝利はもちろん、個人的に激しく心を揺さぶられたのが選手の表情だった。
1試合にかける思い、目の前の1プレー、1球への執念がひしひしと伝わってくる。粘り強く、泥くさく戦う「聖光野球」のファンになり、「記者として聖光学院を取材してみたい」。それが記者を志すきっかけだった。
現在はソフトバンク担当も、20年~22年まで東北のアマチュア野球を取材することが多かった。聖光学院を取材させていただく機会も多く、印象に残っている斎藤監督の言葉がある。
「試合に出る選手がいるということは、試合に出られない選手もいる。試合に出られない選手が、試合に出ている選手を心の底から応援できるチームかどうか。(レギュラーの選手は)控え選手に対する思いやりであったりとか、スタンドで応援してくれているのに自分の怠慢なプレーで失望させるわけにいかないとか。そういったことが熟成されてくると強いチーム、勝つ資格のあるチームだと」
今夏は山梨学院に2-6で敗れ、初戦敗退となった。ただ、5点差を追う最終回。一塁アルプスから応援歌「男の勲章」の大応援が始まる。控え選手が小気味いいリズムで太鼓をたたき、メガホンを通して野太い声も聖地に響き渡る。その光景を見ると、控え選手も最後まで「逆転」を信じ、レギュラー陣を懸命に鼓舞し続けていた。その声援に応えるべく打線も先頭打者から2連打などで無死満塁とし、この回に意地の1点を挙げた。
「今年もやっぱり、いいチームだな」。そう思わずにはいられなかった。【佐藤究】




