独断と偏見で言わせてもらえれば、現状、ロハスが不振なのは矢野燿大率いる阪神にとって悪くないのでは…と思っている。皮肉でも何でもなく。

開幕から阪神は投打がかみ合って信じられないような好調が続いている。ポイントの1つは近本光司から始まるオーダーがほぼ不変なことだ。その中でマルテ、サンズの両外国人が予想以上の働きを見せている。

そこにロハスが加わってきた。使わなければ分からないのは外国人に限ったことではない。しかも大きな投資をしてフロントが獲得してきた助っ人。1軍に来ればとりあえずは起用するのが“現場監督”としての責務だろう。

だからマルテ、サンズのいずれかを外すかなと思っていたらと3人ともスタメン。以前にも書いたがこれは予想外だった。大山悠輔が戦線離脱しているからできた策でもあるが、8年目で雰囲気の出てきた陽川尚将やベテラン糸井嘉男が控えに回った。その他の選手の出番も圧縮する。助っ人野手3人制は過去の例を見ても効果的に、長期的に続く作戦ではないと思うのだ。

それでもロハスがガンガン打ったなら、それは使うしかない。今季だけでもとことん行け! となるところだ。しかし結果は出ない。もちろん日本野球に慣れてもらう意味はあるのだろう。しかし、そこを優先して、せっかく好調で来たチームの流れが切れてしまうのはこわい。

長いシーズンだ。マルテ、サンズに疲労が出ることもあるだろうし、アクシデントも起こり得る。交代要員として調整しながら待機してもらえばいいし、守備はいいようなので途中出場もできるはず。無理にスタメンに並べる必要はないし、現状なら外したところで本人も納得するだろう。

そのロハスに1本出ていれば、どうなっていたか分からない試合だった。1回から重盗を仕掛けてくるなど巨人も必死だ。目の前でバタバタされたスモークが助っ人意地の逆転3ランを放ったのは興味深かった。

TG2000戦。なんだか響きが似ている「トヨタ2000GT」は昔の名車だ。世界に冠たる自動車メーカーは「改善」の思想で知られる。現場の意見を聞き、業務内容、プロセスなどを見直す考えだ。

16日はアルカンタラが投げるのでロハスは出ない。17日は休み。ひと息ついて、また最善の策を考えればいいのでは、と思う。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)