ソフトバンクは12日、尾形崇斗投手(26)、井上朋也内野手(23)とDeNA山本祐大捕手(27)の2対1の交換トレードが成立したと発表した。

24年12月。ソフトバンクは当時4年ぶりのリーグ優勝を果たし、V旅行で米ハワイに飛び立った。尾形はバカンス気分もほどほどに、素早く24時間営業のトレーニングジムを探した。「最初は(会員)登録が必要だった。『3デイズパス』と言われたので、それでお願いしますと。いろいろ登録して、3日間で25ドル。自分で見つけました」。日本円で約4000円。片道約3・2キロはウォーキングにあて、肉体改造に励んでいた。

ワイキキのビーチでは危険のない範囲で自重トレーニング。観光客が珍しそうに尾形を見ては通り過ぎていった。最後はエメラルドグリーンの海に走りながらダイブ。頭にかけていたサングラスが海に流されていたことにも気づかないほど真剣に練習していた。「なんか、言うたら、ハワイ遠征です。ハワイ自主トレ。ここで何かをつかんで帰ろうかなと」。17年育成ドラフト1位からはい上がった苦労人らしい。

とある隙間時間が尾形の闘争心に火をつけた。育成時代、常勝ホークスが日本一になっても、優勝パレードには参加できなかった。今も色あせることはない。

「育成選手ってパレードが終わるのを待ってるんですよ。集合時間は9時で(その後の)ファンフェスは12時からとか。その前にパレード。3時間ぐらいずっとロッカーで待ってます。その時間が屈辱。でもそれが大きな原動力になるんです。それを今回(24年)のパレードをしている時、自分は1ミリも忘れずに胸に置いてパレードをすることができた。その悔しさはこれからもまだまだ残り続ける。もっと上のレベルに行って晴らします」。

最速159キロの剛腕。小久保監督が2軍監督だった23年にはファームで守護神。16セーブを挙げた。「将来的にはメジャーリーグのストッパーみたいに8回のツーアウト満塁で火消し、9回も抑えができるようになりたい。将来のためにしっかり練習しておくことが大事。それも忘れずに」。向上心にあふれる謙虚な26歳。それが尾形崇斗という男である。【21~25年ソフトバンク担当=只松憲】

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