おそろしいと感じるのは勝負の「流れ」だ。いったん悪くなると考えられないことも起こる。阪神戦を見ながら気になるのは、やはり広島戦。その1回の攻撃だ。1番から3連打、そして4番は四球と記されている。だがスコアは「0」。一体、何があったのか。
結論を言えば途中で走塁死があったので、そういう結果になった。走塁死はめずらしくないがこの展開には驚く。これが響いたのか、広島打線は、その後、得点できず、苦手の中日に屈した。今季、ここまで本塁打を1本しか許していなかった大瀬良大地が1回から2発を浴びる段階で流れはおかしかったのだが-。
これで広島は4連敗、対して一気に調子を上げてきた阪神は最下位ヤクルトを圧倒、4連勝とした。開幕から混戦だったセ・リーグ戦線は再び、その状況に戻ってきたようだ。そして首位・巨人に2・5ゲーム差に迫った阪神に間違いなく「流れ」は来ている。
そんな状況を感じさせたこの試合、攻守に目立ったのは満塁弾の佐藤輝明、森下翔太の今季初4安打、さらに気合のマウンドを見せたビーズリーと主役はいるが、注目したいのは梅野隆太郎だ。
4日の中日戦前、甲子園で梅野と少し、話した。3日の同戦で2打数1安打とし、今季の打率が2割に乗ったからだ。別に2割がいいわけではないが1割台はやはり厳しいだろう。「2割になったな」と言うと苦笑しながら梅野は「もう、いいですよ」と言った。
「今から打率どうこうとは思っていません。大事なのはどこで打つか、だと思ってやってます。勝つために、どこで打つか。今はそれしかないんですから」。真剣な表情でそんなことを言っていたものだ。この試合はそれ以来の出場となったこともあり、注目していた。そして「なるほど」とうなずいたのである。
同点の2回、先頭で打席に立つと中前打。これをキッカケに勝ち越しに成功する。さらに、再び回の先頭だった4回は四球。そしてまた先頭だった7回にも中前打を放った。マルチ安打を放ち、ビーズリーから岡留英貴、富田蓮、島本浩也、さらに漆原大晟とリードし、試合を締めたのだ。
「流れ」は人間の力で左右できるものではない。それでもベテラン、若手関係なく、ひたむきに、目の前のやるべきコトに臨むところに、それが続いてほしいと願う。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




