阪神のドラフトに微妙な違和感があった。虎党なら先刻、承知のことかもしれない。「ドラフト1、2位が“かぶっている”からか」と15日にあった新入団発表の席で納得した。
鳴り物入り、3球団競合の末、阪神が獲得した1位の立石正広は右投げ右打ちの内野手だ。そして2位の谷端将伍も、やはり、右投げ右打ちの内野手である。ともに大卒。大学時代から立石は主に二、三塁。谷端は三塁だったようだ。その意味でも、2人は完全にかぶっている。
「それがどうした。右打者があまり育ってないからやろ」。そう思われる方もいるかもしれない。それでもこれは、結構、異例なことだ。投手を1、2位で獲得するのはめずらしくない。だが阪神のドラフトにおいて野手で1、2位を占めたのは最近で18年。1位が近本光司で2位が小幡竜平だ。社会人出の外野手と高卒の内野手である。
その前は15年。明大からともに高山俊と坂本誠志郎を獲得しているが、これも外野手と捕手だ。そう見ると右投げ右打ち、ポジションもほぼ同じ2人というのは異例の部類に入るのではないか。戦略的にどうなのか。違和感はそれだった。
そんな話をしているとある関係者がこんなことをつぶやいた。「右がいないのもありますけどね。いまの球界、そして阪神の状況もあるんじゃないですか」-。どういうことか。
主砲・佐藤輝明が米国で自主トレを行っていた。SNSで発信するのは今風だ。大リーグ挑戦への意欲を隠さない。そして森下翔太だ。具体的な話はないが彼もメジャー指向なのは間違いないと見ている。
近い将来、ポスティングシステムでの流出を球団が許すかどうかは今後の話として、これまでと違い、どんなに有望な選手を取ったり、育てたりしても「出ていく」ことを想定しなければならない時代になったということかもしれない。
これまでの状況とは違ってきているということだ。昨今の日米球界の待遇差を見れば、有力選手には常にその可能性を念頭に置くのが普通かもしれない。
だからこそ、ポジションなどがかぶってもいい選手がいれば獲得しておくことは重要なのだろう。選手にとれば競争激化の意味はあるがチーム力を落とさないためには必要なことだ。ハワイ優勝旅行でいいムードのチームを横目に、そんなことを感じている。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




