開幕前、甲子園では最後のオープン戦となる西武戦だ。このゲーム、スタメンで守備位置も変わらず、フル出場したのは1人だけ。「8番・一塁」の元山飛優だ。昨オフに西武を戦力外になり、阪神が獲得した選手である。その元山は2回に右翼線に二塁打。うまく回り込み、セーフとなった。これがタテジマを着て、甲子園初安打だ。

「出るかなって不安やったですけど出てよかったです。試合前に筒井(壮)コーチが『きょうオープン戦最後やからな、甲子園。きょう出さなあかん』って。よかったです」。古巣相手の1本には「逆にやりにくいっすよ」と笑った。

指揮官・藤川球児は昨年のリーグ制覇に関係なく、チームを新たに作り直していく考えを示している。どのポジションもそうだが、内野も大きく刷新しようという感じだ。故障で出遅れたが25年ドラフトの目玉だった立石正広の指名、遊撃を守るというディベイニーの獲得などがそれを示す。

その中でユニークなのが元山では、と勝手に考えている。トレードでも現役ドラフトでもなく、戦力外になった選手がここで使えれば大きい。かつて知将・野村克也は「野村再生工場」と呼ばれたこともあったが、そんな感じになれば、これはしめたものだ。

強みは内野はどこでもいけるというユーテリティーぶりか。東北福祉大では2年先輩の中野拓夢と二遊間を組んでおり、入団会見ではその再現を希望していたが、この日は一塁手でのフル出場だった。

「ファーストはまだちょっと動きわからんなっていうところあるんで。大山(悠輔)さんの動き見たりして勉強していきたいなと思ってます」。西武時代にコーチだった阿部真宏にもらったミットでの守備だったという。大阪出身の元山の口から近鉄、オリックスでも活躍した阿部の名前が出るのはなんとなく楽しい。

この日のゲーム前には育成選手だった捕手の嶋村麟士朗が支配下登録された。チームは少しずつ変化しているのは間違いない。その中に元山がどう溶け込むかは1つの注目点だ。

「オープン戦と全く違う景色がペナントレースですから。まだ何も始まっていません」。甲子園でのOP戦を終え、球児は虎番キャップたちにそう言った。それは間違いないことだ。広島、千葉の遠征、そして仕上げの京セラドーム大阪と続いていく。(敬称略)

阪神対西武 2回裏阪神2死、元山は二塁打を放つ(撮影・上田博志)
阪神対西武 2回裏阪神2死、元山は二塁打を放つ(撮影・上田博志)