空高く投げ上げるフォークボール! 春夏連続の甲子園を目指す奈良大付が快勝発進したが、エース坂口大誠(3年)が、仰天の1球を投じた。4-1と逆転した後の3回表1死走者なし、西の京の先頭打者の初球に超スローボールを投じた。ふわりと空中に浮いた球は惜しくも外角高めに外れボールと判定された。

 「あれ、実はスローフォークなんです」

 試合後、坂口はそう説明した。昨夏、甲子園を沸かせた東海大四の西嶋亮太投手(現JR北海道)の「超スローボール」を投げたくて、ひそかに練習していた。ただ、人のまねではおもしろくない。自分のオリジナルの球を研究し続けた結果、フォークボールの握りで投げるスローボールにたどりついたという。打たせて取るタイプだけに、さらに投球の幅を広げるために考えた球種だった。

 通常、フォークボールは球を挟んで投げるため、その握りで空中に高く投げるのも、コントロールするのも簡単ではないが「次の試合では、絶対にストライクを取りたい。余裕があればですけれど」と、ちゃめっ気たっぷりに笑った。

 この日は6回を投げ1失点。前代未聞の1球は再び投じられるのか。次の高田商戦もマウンドから目が離せない。【坂祐三】