青森でノーシードの三沢商が、4季連続の甲子園を狙った強豪・八戸学院光星を延長の末、サヨナラ勝ちで破った。12回裏2死一、三塁から鎌本憲外野手(3年)が空振り三振した。だが、その球が暴投となり、振り逃げ。三塁走者の米内山将輝外野手(3年)がホームに生還した。劇的な幕切れでつかんだ29年ぶり2度目の甲子園切符。ナインは歓声を上げながら駆け寄り、抱き合った。

 11年から3季連続全国準優勝で、巨人坂本、阪神北條ら多くのプロ選手を輩出する強豪を撃破した。相手強力打線に対し、右横手投げの野田海晴投手(3年)が4安打1失点と好投。野田は「味方が守ってくれるのを信じて投げた」と笑顔を見せた。1-1の延長10回表2死一、三塁の場面では、普通なら中前に抜けそうな当たりを、一塁走者のスタートを見て二塁ベースカバーに入った二塁手が処理。奇跡的な守備で切り抜けるなど、バックも無失策でもり立てた。

 準々決勝で第1シードの弘前学院聖愛、準決勝で第4シード青森、そしてこの日第3シードの光星とシード校を次々連破しての頂点。青森で公立校の甲子園出場は96年の弘前実以来、実に19年ぶりだ。同校OBで、86年の甲子園に中堅手で出場した浪岡健吾監督(46)は「エラーもなくナイスゲーム。私立の分厚い壁をついに破った」と、快進撃のナインに目を細めた。【北村宏平】

 ◆三沢商 1963年(昭38)創立の県立校。商業科、情報処理科があり、生徒数は560人(女子350人)。女子バスケットボール部、吹奏楽、マーチングは全国大会出場経験がある。野球部は86年夏の甲子園に出場、1回戦で甲西(滋賀)に敗れた。主なOBはオリックス、巨人でプレーした佐々木明義。所在地は青森県三沢市春日台2の154。池田聡校長。

◆Vへの足跡◆

2回戦14-0鶴田

3回戦9-5大湊

4回戦4-1八戸工

準々決勝6-2弘前学院聖愛

準決勝9-8青森

決勝2-1八戸学院光星