大分商が佐伯鶴城を下し、甲子園に出場した13年以来2年ぶりの4強に駒を進めた。プロ注目の最速148キロ右腕、森下暢仁(まさと)投手(3年)が1回に今大会3戦目で初失点を喫したものの、本塁への気迫のヘッドスライディングや盗塁、バントヒットなどでけん引し、勝利への執念を見せた。甲子園まであと2勝とした。

 プロ注目、九州NO・1右腕の森下が甲子園への執念を豪快ヘッドで見せた。3回1死一、二塁。5番・雨川春樹捕手(3年)の右前打に「自分が止まっていたら流れは来ない」と、二塁から激走。三塁を回りホーム目がけて、けがも恐れぬ気迫のヘッドスライディングで突っ込んだ。ライトからの好返球でアウトになったが「そんな(けがの)ことを言っていたら点が入らない。点を取るため、ああいう形になった」と燃えた。渡辺正雄監督(42)も「冷静な森下がヘッドスライディングするとは。けがしなくてよかった」とビックリ。指揮官を驚かせる闘志でチームをけん引した。

 1、7回にはいずれも二塁への盗塁を成功させ、得点につなげた。3回1死の場面ではバントで三塁前に転がし、俊足を飛ばしてヒットにしてみせた。渡辺監督によると、盗塁は「行かせてください」と森下からサインを送ってきたという。積極果敢な攻めでチームを鼓舞し続けた。

 もっともマウンドでは勝利への執着が力みにつながり、1回に今夏3戦目で初めて失点(2点)。だが「絶対に負けたくなかったので気持ちで投げた」と、2回以降は得点を許さない。7安打され四球も2つ与えたが、最速144キロの直球とスライダー、カーブなどの変化球を軸に耐えた。9回、最後の打者を三ゴロに打ち取ると、右手を突き上げ派手にガッツポーズ。気合が違った。

 さあ、次は25日の準決勝、杵築戦。「振ってくるイメージがある。コントロールミスをしないようにしたい」。気を引き締め直した。【菊川光一】

 ◆森下暢仁(もりした・まさと)1997年(平9)8月25日、大分市生まれ。野球は小3から明治少年野球クラブで始める。大東中で軟式野球部に所属し3年時に九州大会優勝。大分商では1年夏からベンチ入りし、控え投手で甲子園出場。昨秋からエース。右投げ右打ち。遠投100メートル。180センチ、70キロ。