大黒柱が力を見せつけた。桐生第一の最速143キロ右腕、山田知輝投手(3年)が、8安打を打たれながらも111球で完封し、7年ぶりの甲子園へあと1勝とした。

 今夏465球目のボールで最後の打者を打ち取ると、雄たけびを上げた。「気持ちが入りました。最後までスタミナは問題なかったです」。

 1年秋からエースで4番に座り、同年秋の県大会は準優勝。関東大会も準優勝、通算9試合すべて完投した。2年春にセンバツ出場。2回戦の広島新庄戦では、再試合を含む24回を1失点で投げ抜くなど、23年ぶりの8強に貢献した。

 だがその後は調子を崩し、昨年10月には右肘を痛めた。それでも、1日10キロの走り込みに120キロのスクワットを10回3セットこなし、球速は7キロ上がった。チューブを使ったトレーニングで内側の筋肉を鍛え、痛めた右肘も万全。今夏全5試合に先発し、3完投を含む計36回を2失点、防御率0・50と抜群の安定感だ。

 決勝の相手は高崎健康福祉大高崎。昨夏から3季連続で対戦し、全て敗れている。「3度同じ相手に負けた悔しさをばねに練習してきた。決勝も自分の力を出し切ります」。7年ぶりの甲子園を懸けた最高の舞台で、宿敵に借りを返してみせる。【桑原幹久】

 ◆山田知輝(やまだ・ともき)1997年(平9)9月16日、栃木・足利市出身。小2から野球を始め、足利西北小では「三和クラブ」に所属。坂西中では野球部に所属。中3の時、県大会4強。桐生第一では1年秋から4番でエース。球種はカーブ、スライダー、スプリット。遠投110メートル。50メートル6秒2。家族は両親、兄、姉。186センチ、86キロ。右投げ左打ち。