鶴岡東が14安打13得点で羽黒を圧倒し、4年ぶり4度目の夏の甲子園出場を決めた。初回に5番安食幹太主将(3年)が右前に2点適時打を放つなど一挙5点を先制。3番から6番の主軸は県内出身者で固め、4人で9安打7打点と打線をけん引した。投げてはエース左腕・福谷優弥投手(3年)が9回10安打2失点と粘りの投球を見せた。

 安食のグラブに勝利の飛球が収まっても、マウンドに歓喜の輪はできなかった。14安打13得点完勝。主将は言い放った。「自分たちは甲子園に行かなければならない。チーム、個人それぞれがみんな分かっている」。98年日大山形以来4校目の県大会秋、春、夏完全制覇も、鶴岡東にとっては通過点にすぎなかった。

 山形・新庄シニアの同期トリオで固めたクリーンアップが初回から火を噴いた。1死二塁から3番柿崎航(3年)が敵失で出塁し、4番阿部大(3年)が四球で続く。5番安食が、同シニアの同期だった羽黒・先発中嶌の真ん中の直球を振り抜いた。「高校入って対戦したことなかった。昨日が中止でも冷静に入って行けた。思い切って振るだけだった」。先制点となる2点適時打を放つなど、5点を奪って押し切った。

 関西からの野球留学生が先発の半分を占める中、県内勢が打線をけん引した。3安打2打点の安食を始め、地元鶴岡出身の6番丸山は4安打5打点。8回にはバックスクリーン横にたたき込む2ランを放つなど、存在感を発揮した。最上地区の鮭川出身の阿部大は言った。「練習では最上弁や、庄内弁、関西弁が入り交じりますが、違和感はありません。コミュニケーションはちゃんととれています」。

 出身地が異なる部員85人を束ねたキャプテンシーも光った。佐藤俊監督(43)は「今年の代は安食が主将で満場一致だった。そんな世代は珍しい。言動、行動、責任、すべて備わっている」と振り返った。センバツ出場をかけた秋の東北大会準決勝、大曲工戦で8回裏に逆転を許して負けても、チームはぶれなかった。安食は「新チームから悔しい思いをしてきた。練習を続けて結果が出せた」と胸を張った。

 優勝への道のりは平たんではなかった。米沢中央との準々決勝は、9回表に5点とって逆転勝ち。決勝は2度の雨中止があっても集中力を切らさなかった。安食は言う。「日本一が最大の目標」。まずは同校初となる夏1勝を挙げて、1歩ずつ階段を上がっていく。【高橋洋平】

 ◆鶴岡東 1968年(昭43)鶴岡商業として開校の私立校。77年に鶴商学園に名をかえ、00年から現校名。生徒数は761人(女子346人)。野球部も68年創部、部員は85人(マネジャー3人)。甲子園出場は春1度、夏3度。主なOBは元阪神の青木重市。所在地は鶴岡市切添町22の30。斎藤哲校長。

◆Vへの足跡◆

2回戦10―2山形東

3回戦10―1山形南

準々決勝8―5米沢中央

準決勝3―2山形中央

決勝13―2羽黒