大阪桐蔭待ってるぞ! 2年連続同じ顔合わせとなった決勝は、センバツ王者の敦賀気比が延長10回サヨナラ勝ちで、福井工大福井を破り、2年連続7度目の夏の甲子園出場を決めた。エース平沼翔太(3年)が166球完投。史上8校目の春夏連続優勝へ、宿敵大阪桐蔭との対決を心待ちにした。

 春の王者が甲子園に帰ってくる。3-3の延長10回裏2死一、二塁。打席に向かう主将の篠原涼内野手(3年)へ「お前に任せた!」というナインの声が飛んだ。その期待に応え、高いバウンドが一塁横を抜け右前へ。二塁走者の嘉門裕介(3年)がホームインしサヨナラ。春夏連続、2年連続7度目の夏の甲子園出場を決め、ホームベース付近に歓喜の輪ができた。

 序盤から苦しんだ。2回表に福井工大福井に先制の3点を許した。しかし4回に嘉門の適時打で1点、5回に林中勇輝内野手(2年)らの連続適時打で試合を振り出しに戻した。

 ここからがセンバツV右腕、平沼の真骨頂だ。「同点になってから、ギアをあげました。三振を取るのが、流れを持ってくるには一番ですから」。6回から7回にかけて4連続三振。流れをグイッと引き寄せてサヨナラを呼び込んだ。

 史上8校目となる春夏連続Vへの青写真はセンバツから凱旋後、すでに描かれていた。「無理をして夏の大会を前に故障してしまっては元も子もないので、まず疲れを取ることを優先していた」と平沼。投球練習も100球以内に抑え、肩のケアに努めた。勝負のかかったこの日の決勝では166球の熱投。真っすぐは自身の最速より5キロ近く遅い138キロ止まりだったが、スタミナ重視で最後まで投げきった。

 「期待が大きくプレッシャーがあったが、苦しい試合を勝ち切った選手たちをほめてやりたい」

 東哲平監督(34)は接戦で勝った選手を褒めたたえた。次は史上8校目となる春夏連続日本一が目標だ。夏連覇を目指す大阪桐蔭はまだ甲子園出場を決めていないが、昨夏と今春の2度対戦した平沼は「1勝1敗ですから…」と、3季連続となる聖地での決着を熱望した。【坂祐三】

 ◆敦賀気比と大阪桐蔭の因縁 昨年夏の甲子園準決勝で対戦し、大阪桐蔭打線が敦賀気比の先発平沼を9安打12点の猛攻で6回途中でKO。結局15-9で快勝し、その勢いのまま全国制覇を達成した。今春のセンバツ準決勝で両チームは再び対戦。今度は敦賀気比打線がお返しとばかりに11安打11点の猛打爆発で圧勝。エース平沼は4安打完封で見事にリベンジを果たし、その勢いのまま全国制覇を果たした。

 ◆敦賀気比 1986年(昭61)創立の私立校。生徒数685人(女子283人)。野球部は創立と同時に創部で、部員数は97人。甲子園は春は6度、夏は今回が7度目の出場。主なOBは巨人内海ら。所在地は敦賀市沓見164の1。菊崎俊一校長。

◆Vへの足跡◆

2回戦10-2福井高専

準々決勝8-1足羽

準決勝7-0美方

決勝4-3福井工大福井