上田西が佐久長聖を延長10回の末、サヨナラで下し、2年ぶり2度目の甲子園出場を決めた。10回無死一、二塁から、3番三井崇平内野手(3年)が左越えへのサヨナラ適時二塁打で決着をつけた。三井は3回にも先制適時打を放ち、2打点で優勝に貢献した。エース草海(くさがい)光貴(2年)は、10安打を浴びながらも1失点完投した。

 殊勲の三井は、チームメートの歓喜の輪に向かってダッシュした。打のヒーローは本塁上で待つ仲間に祝福を受けた。1-1で迎えた延長10回無死一、二塁。佐久長聖のエース榎海人(3年)が投じた116球目、高めスライダーをフルスイングし、左越えサヨナラ適時打を放った。「手応えがありました。左を狙えば越えると思った」。風が本塁から左翼方向に吹き始め、計算通りに流し打った。

 3回の2打席目に、2死三塁から左前へ先制適時打を放っていた。左方向への意識は既にあった。何より「自分で決める」と強い覚悟で立った最後の打席だった。10回は無死一、二塁で、バントでもおかしくない場面。初球、セーフティー気味のバントが、ファウルになった。だが、失敗も気にしなかった。「スタンドの応援も手拍子で乗せてくれた」と積極的にバットを振った。

 サヨナラ打は「今まで記憶にないです」。大事な場面で勝負強さを発揮できたのは、普段の積み重ねの成果だ。目標の打者は「西武の森友哉選手」。森のような強いインパクトの打球をイメージし、毎日300スイングを課してきた。「まだまだですけど」と照れ笑い。それでも、理想に近い打球で、甲子園を引き寄せた。

 原公彦監督(44)が「左打者がポイントになる」と予想していた通り、三井が2打点の活躍だった。佐久長聖には今春の県大会決勝で敗れていた。「うちは挑戦者」と選手たちに言い聞かせ、無死からの走者を3度出し、そのうち2度で得点。選手がチャレンジャー精神で培った粘り強さを結果で示した。次の舞台は2年ぶり2度目の甲子園。前回は初戦で木更津総合(千葉)に敗れた。三井は「先輩たちを超えたいです」と、まず甲子園1勝を目標に掲げた。【斎藤慎一郎】

 ◆上田西 1960年(昭35)創立の私立校。普通科で生徒数は918人(女子372人)。レスリング部、アーチェリー部などが全国大会出場経験がある。野球部は13年夏の甲子園に初出場。1回戦で木更津総合に敗れた。主なOBは中日川井雄太。所在地は上田市下塩尻868。桜井達雄校長。

◆Vへの足跡◆

2回戦13-0豊科

3回戦8-1長野工

4回戦11-4創造学園

準々決勝10-3野沢北

準決勝6-5松商学園

決勝2-1佐久長聖